公営霊園とは – 特徴と費用相場

2018年3月25日

墓地や霊園は、だれがそこを管理、運営しているかによって「公営霊園」「民営霊園」「寺院墓地」の3つの種類に分類できます。中でも公営霊園は、都道府県や市区町村など、地方公共団体が運営しているため、安心感がある、価格が安いといった意見も聞かれます。

ここでは公営霊園についてご説明します。

公営霊園は、都道府県、市区町村などの地方公共団体、自治体が管理、運営している霊園のことです。また、自治体から委託された企業や財団法人などが管理や運営を行っている場合もあります。

公営霊園以外の霊園には、民営霊園や寺院墓地があります。民営霊園の特徴は、お客様の要望に柔軟に応えられるといった点があります。また寺院墓地については、葬儀や法事法要など、お墓だけでなく人生のライフエンディングにかかわる宗教的なサポートを受けられるといった特徴があります。

公営霊園の特徴

公営霊園の最大の特徴は、その運営者、管理者が都道府県や市区町村などの自治体であるという点です。行政サービスとしての霊園であるため、民営霊園や寺院墓地とは異なる特徴があります。

経営が安定している

お墓は長期にわたって利用するものなので、霊園の経営が安定しているかどうかは大変重要です。

公営霊園は自治体またはそれに準ずる機関が管理運営をしています。そのため他の霊園と比較して、倒産や閉鎖などの危険性は少ないといわれています。合併などで自治体がなくなった場合にも、新しい自治体が経営を引き継いでくれます。

公営霊園の主な運営資金は税金です。このほか公営霊園の使用者からの使用料、管理料などがあります。

石材店の制限がない

民営霊園や寺院墓地では、墓石を販売している石材店などと提携している場合があります。そういった場合、墓石を建立する際、依頼先の石材店を指定されることがあります。

一方、公営霊園では特定の業者に有利にならないよう、平等にする必要があることから、基本的にどの石材店に墓石の建立を依頼しても問題はありません。

宗教による制約がない

公営霊園の使用に関しては、宗旨・宗派は不問です。どのような宗教を信仰していても制約なく利用できるのは、公営霊園の大きな特徴です。

公営霊園の管理、運営は行政サービスの一環として行っているものです。そのため、「信教の自由」が保証されています。また、その地域で亡くなった身寄りのない方や、身元不明の方が公営霊園に埋葬されることもあります。宗教についての制約がないため、そういった方たちがどのような宗教を信仰していても受け入れることができます。

公営霊園の相場(管理料と使用料)

公営霊園のコストは民営霊園と比較して費用は安いといわれます。しかし使用料についてはその土地の地価などとも関係してくるため、一概に安いとはいえません。

管理料

管理料とは毎年お墓に支払うお金のことです。いわゆる霊園の維持費にあたります。

公営霊園の管理費は、各自治体や霊園、また区画の種類によっても異なりますが、年間1,000~10,000円の範囲に収まるのが一般的です。

使用料

公営霊園の区画を使用する権利を得るための費用です。

こちらは霊園によって大きな差があります。

例えば、平成29年度の都立霊園の使用者募集に関する資料( 2017年05月25日発表)を見ると、東京都港区にある都立青山霊園では一般墓の使用料は430万円を超えています。谷中霊園では200万円、そのほかの霊園でも、150万円を超えているところもあります。

平成29年度 都立霊園・一般埋蔵施設の使用料及び管理料

霊園・種別・面積 使用料 年間管理料
多磨霊園  一般埋蔵施設
(1.80~5.90平方メートル)
1,589,400~5,209,700 1,220~3,660
小平霊園  一般埋蔵施設
(1.80~5.75平方メートル)
1,508,400~4,818,500 1,220~3,660
八柱霊園  一般埋蔵施設
(1.75~6.00平方メートル)
341,250~1,170,000 1,220~3,660
青山霊園  一般埋蔵施設
(1.60~3.95平方メートル)
4,376,000~10,803,250 1,220~2,440
谷中霊園  一般埋蔵施設
(1.50~2.00平方メートル)
2,634,000~3,512,000 1,220

*2017年05月25日  建設局, (公財)東京都公園協会 報道資料より

地方についても、各地域の一等地やそれに近い場所にある公営霊園の場合、使用料は高めなります。一方で、一等地を外れたところにある公営霊園では使用料は安くなり、中には数万円というところもあります。

また、区画や埋蔵、収蔵の形態によっても使用料は変化します。公営霊園内にも一般墓だけでなく、芝生墓地や樹木葬墓地、納骨堂、合祀墓地・合同墓地などさまざまな施設があります。これらの施設によっても使用料は大きく変化します。

平成29年度 都立小平霊園の埋蔵施設と使用料及び管理料の違い

墓地の種別 面積・遺骨の数 使用料 年間管理料
一般埋蔵施設 1.80~5.75平方メートル 1,508,400~4,818,500 1,220~3,660
芝生埋蔵施設 4.00平方メートル 3,388,000 3,320
小型芝生埋蔵施設 2.00平方メートル 1,782,000 1,660
合葬埋蔵施設
(直接共同埋蔵)
遺骨1・2体用
遺骨・生前2・3体用
生前1・2・3体用
遺骨1体あたり57,000
樹林型合葬埋蔵施設 遺骨1・2体用
遺骨・生前2・3体用
生前1・2・3体用
遺骨1体あたり123,000
粉状遺骨1体あたり
41,000
樹林型合葬埋蔵施設 遺骨1・2体用 遺骨1体あたり183,000

*2017年05月25日  建設局, (公財)東京都公園協会 報道資料より

区画が大きめの霊園が多い

例外もありますが、基本的に公営霊園は民営霊園より1区画の面積が広いところが多いようです。

区画が広いと解放感もあり嬉しく感じますが、一方で大きな区画に釣り合う墓石を用意しようとするとコストがかかります。また、広いので雑草の処理など、管理には手間がかかってしまいます。

代表的な公営霊園の例

都立青山霊園

おそらく誰もが一度は聞いたことがある霊園なのではないでしょうか。

東京都港区にある霊園で、日本初の公営霊園として知られています。

歴史ある霊園なので、多くの著名人のお墓が存在します。例を挙げると大久保利通、犬養毅、乃木希典、国木田独歩、志賀直哉、北里柴三郎などが青山霊園で眠っています。

忠犬ハチ公のお墓もありますが、遺体は剥製になっているのでお墓には何も埋まっていません。

桜並木が有名で、お花見のシーズンには多くの花見客が訪れます。

>>都立青山霊園の詳細はこちら

都立多摩霊園

東京都府中市と小金井市をまたぐように存在する霊園です。

近代日本におけるお墓のフォーマットを作ったと言われる霊園で、東郷平八郎や山本五十六が眠っている場所としても知られています。

人気の高い霊園ですが、新規に区画を作っておらず、募集は改葬などで移転者が出たときのみ行われます。そのため抽選倍率がものすごく高いことでも知られます。

>>都立多磨霊園の詳細はこちら

公営霊園のメリット・デメリット

公営霊園(公営霊園)にはさまざまなメリットとデメリットが混在します。

1つずつご紹介するので、霊園選びの参考にしてください。

公営霊園のメリット

低コストの場合が多い

一般的には、民営霊園より公営霊園の方が使用料や管理料が安くなる傾向があります。

もちろん前述のように地域や霊園の立地条件、希望する区画の形態などによっては、大きな差があります。あくまで目安として費用が抑えられるのは公営霊園と考えても問題ないでしょう。

経営主体が安定している

自治体が管理しているため、倒産や廃寺といったリスクはほかの霊園や墓地と比べて少ないといえます。もし、霊園がなくなれば、高額な永代使用料は戻ってきませんし、新たに墓地を求める必要も生まれます。そうした点では、経営主体が安定している点は、霊園、墓地を選ぶにあたっても非常に重要です。

住民なら誰でも利用できる

寺院霊園などでは、そのお寺の檀家になっていない限り霊園を利用できません。

この点、公営霊園は、その自治体に住んでいる人であれば、宗派などにかかわらず利用できます。宗教的な制限がないというのは、公営霊園の大きなメリットのひとつといえるでしょう。

石材店の指定がない

公営霊園でお墓を建てる場合、依頼する石材店を指定されることはありません。石材店の比較検討の幅も広がり、コストを抑えることができます。また、オリジナルな形の墓石を作りたい場合など、そういったことが得意な石材店に依頼ができます。

墓石を選ぶ際の自由度が多いというのは、公営霊園の魅力のひとつです。ただし、霊園や区画によっては規格化された墓石が既に存在するところもあります。必ず事前に確認してください。

公営霊園のデメリット

遺骨がないと申し込めないことがある

それぞれの公営霊園や区画によっても異なりますが、申し込に当たっては遺骨を既に持っている人が優先されます。特に希望者が多い公営霊園では、たとえ抽選であっても、遺骨を持っている人の方が優遇されやすいようです。

生前に墓所を用意しておきたいという場合は、やや不利になる傾向があります。

施設が不十分なことがある

民営霊園にはほぼ法要施設が併設されていますが、公営霊園にはないところも多いです。

法要施設がないと、お寺などで法要をあげてもらってから墓地に移動して納骨する必要があります。場合によっては休憩所がないところや、桶と杓子や水場などがないところもあります。

ルールが多い

公営霊園では、墓石の幅や高さを制限されることがあります。

樹木を植えていい霊園もありますが、その場合でも高さや大きさの制限があります。

何かと決まりごとが多いので、申し込み前によく確認しておきましょう。

どうやったら公営霊園に入れるの?

公営霊園に入るには、基本的にその自治体に住んでいなければなりません。

住んでいる期間にも制限があり、3年以上居住または5年以上居住などの条件があります。

これの条件をクリアしたうえで、自治体が定めた申込期間中に申し込まなくてはなりません。

自治体のホームページや役所の窓口などで確認してください。

自治体によっては毎年ある程度決まった時期から募集が始まりますが、不定期の場合や募集を行わない年もあります。

また、申込者が多い場合は抽選になります。

抽選に当選したら、申込資格を本当に満たしているかを確認されます。このときに身分証や戸籍謄本などの必要書類を提出することが多いです。

その後は永代使用料や管理費を支払い、使用の許可が下りたらお墓を使うことができます。

公営霊園の管理者は

公営霊園の指定管理業者とは

公営霊園は自治体が管理していますが、各自治体の公務員が直接管理しているとは限りません。

民間の業者に管理と運営を委託していたり、自治体が民間人を雇っていたりするケースも多くあります。管理を委託された業者のことを特に指定管理業者などと呼びます。

しかし間接的にとはいえ自治体が管理を行っていることに代わりはありません。要望や問題点などがあれば自治体に問い合わせれば解決することがあります。ただし「指定管理業者へお尋ねください」とかわされることもあるので注意してください。

民間の業者と言っても行政側が定めたルールに則って管理をしているので、規則に則った安定したサービスを受けることができます。

一方で、サービスの内容が他の民営霊園、寺院霊園に劣る場所もあります。どのような管理体制なのかを事前に確認し、現地へ足を運んで霊園の様子を確認しておくことが大切です。

使用者が共同で管理する公営墓地もある

各自治体の条例をみてみると、たくさんの公営霊園を有している自治体もあります。このような公営霊園の中には、共同墓地(集落墓地、部落墓地、村墓地、みなし墓地などと呼ばれることもあります)もあります。

これらは、現在の墓地や埋葬に関する法律が作られる以前から、村落など地域の共同体によって使用、管理・運営されていた墓地です。法律ができ、地方公共団体の管理するお墓となりましたが、実質的な管理・運営は現在も、地域の人々や使用者などによって行われているところも、数多くあります。

まとめ

公営霊園は自治体が管理しているので、安定性とコストの安さが魅力です。

しかしエリアによっては、コストが高くなる場合もあるので注意してください。

民間の霊園より設備が整っていない霊園や、独自のルールを守らなければならない公営霊園もあるので、よく検討した後に申し込みを行ってください。