建長寺（臨済宗大本山）の現地レポート

【アクセス・周辺環境】

鶴岡八幡宮から北鎌倉方面へ向かう道沿いに、堂々たる外門がそびえている。鎌倉を代表する観光スポットでもあるので、道路には「建長寺」という案内表示も出ている。目の前を通る県道21号線は交通量も多く、週末ともなると渋滞しがちなので、車を利用する場合には時間に余裕をもって出かけたほうがいいかも。ただ、境内がかなり広いこともあり、境内に入ってしまえば車の通行音などはほとんど聞こえない。

【園内】

建長寺には大本山墓所のほかに、妙高院墓所、回春院墓所など塔頭ごとに墓所が作られている。大本山墓所があるのは僧侶の修行道場が連なる嵩山門の先。よく手入れされた緑と石畳の道を進んでいくと、やがて墓園が見えてくる。墓園は低地から丘陵の山肌に広がっていて、低地のあたりはみな古い檀家のお墓だとか。その間を縫うようになだらかなスロープが続いていて、高所まで上がっていけるようになっている。墓所が一区切りついたところには、修行僧が日々の糧のために作っている畑があり、それよりさらに高いところにこぢんまりとした墓所が作られている。現在空きがあるのは、その一番の高所に位置する区画のみ。低所の区画のようなどっしりとした雰囲気には欠けるが、日当たりがよく開放的で、墓前からは緑の向こうに海が見えるのがうれしい。大本山墓所の中で海が見えるのは、現在販売中のその区域のみとなっている。
嵩山門より先は修行道場となっているため、基本的に一般公開されていない。墓所を見学したい時には、山門のところにある石屋さんの受付で申し込みをして、案内してもらうことになる。また、墓所は在来仏教徒なら誰でも申し込めるが、墓所を購入すると同時に建長寺の檀家となってしまうため、墓所を購入する前に建長寺の管長さんとの面談を受けなければならないとか。ただ、見学に訪れた時に偶然管長さんと行き会ったが、とても穏やかで気さくな方だった。

【管理棟】

墓所内には管理棟に当たる建物はないが、境内には寺務所があり、法事の際には休憩に使える客殿「得月楼」が併設されている。

【その他】

建長寺の正式名称は、巨福山建長興国禅寺。鎌倉時代に第5代執権の北条時頼によって創建された歴史ある名刹で、日本における臨済宗建長寺派の大本山となっている。鎌倉五山と呼ばれる臨済宗の名刹の中でも第一位で、三門・仏殿・法堂・唐門は国の重要文化財、嵩山門のすぐ右にある梵鐘は国宝に指定されている。方丈では毎週金・土曜の17時から18時まで座禅会が開催されていて、誰でも無料で座ることができる。方丈の裏手には建長寺を開山した大覚禅師の作庭による庭園が。梵鐘と同じく創建当時から残っている貴重な日本庭園で、国の史跡に指定されている。境内にはそういった貴重な建造物が数多く残っているため、修学旅行や遠足で訪れる学生の姿も多い。

【周辺スポット】

■円覚寺
正式名称は瑞鹿山円覚興聖禅寺。鎌倉五山の第二位に列せられる、臨済宗円覚寺派の総本山。建長寺を創建した時頼の息子で、鎌倉幕府第8代執権の北条時宗が創建した。神奈川県内では唯一の国宝建造物となっている舎利殿、国の名勝となっている庭園などがあり、境内全体が国の史跡に指定されている。

■鶴岡八幡宮
源頼朝が鎌倉幕府の宗社として整え、鎌倉の中心とした古社。静御前ゆかりの舞殿、国の重要文化財である本宮、歴史にちなんで命名された源平池や太鼓橋など見どころがいっぱいで、境内全体が国の史跡に指定されている。