長男のあなたも「墓を継ぐのは当然オレ」派?

長男のあなたも「墓を継ぐのは当然オレ」派?

 
きょうだいの中で最初に生まれたか。最後に生まれたか。それともその間か、一人っ子なのか。そんな生まれた順番が職業選びにも関係している―。
たまたまチャンネルを回したバラエティ番組でしたが、その内容にちょっと興味を惹かれました。
 
「兄弟姉妹生まれ順の差」というタイトルで放送していたのは、先月の『この差って何ですか?』(TBS)。
この日の解説者、心理カウンセラーの五百田達成氏は「きょうだい」の分類を次のように定義していました。
 
 ・「長子(ちょうし)」:最初に生まれた人
 ・「中間子」:生まれたのが最初でも最後でもない人
 ・「末っ子」:最後に生まれた子
 ・「一人っ子」:きょうだいがいない人
 また、それぞれ男女の性別は問いません。
 
五百田氏はいくつかの職業について、この生まれ順の割合や人数で提示していました。
 
例えば「芥川賞・直木賞作家」97人中一番多いのは、36人(37%)を占める長子だといいます。
受賞者の中の長子として羽田圭介、向田邦子、林真理子、石原慎太郎など諸氏が挙げられていました。
 
ちなみに真面目でコツコツ型、責任感が強いという長子は、最後までやり抜く作家に向いているそうです。
同じく、アメリカ人宇宙飛行士23人中21人を占めるのは長子だそう。長子はいろいろな経験を兄弟の中で一番はじめに経験するためフロンティア精神を持ち、「どうせ自分が最初」という意識を持っているのだとか。
 
その他、モデルには末っ子が多いという分析も。土屋アンナ、ダレノガレ明美、菜々緖、香里奈さんなど。末っ子は家族の中のアイドルとして育てられ、また本人も可愛く見せる方法を知っているためだと解説していました。
 
あくまでその職業に占める、生まれ順の割合からみた傾向とは言え、子どもの頃からの環境、家族やきょうだいの中での立場が、人の意識や性格に影響を与えることは充分考えられるのではと感じました。
 
そんな番組を見た後、とあるラジオ番組で、タレントのはるな愛さんが母親とお祖母ちゃんの3人で行った故郷でのお墓参りの話を聴きました。
 
なお、愛さんの両親は離婚していて、父親の実家の墓も他の場所にあるといいます。
愛さん曰く「私が死んだら分骨して、両方の墓に入りたい」。
「でも、結婚したらそのダンナさんと、実家とは別のお墓に一緒に入りたいと思わないの?」と聞く局アナに対し、「私はこういうことには女の気持ちより、男の気持ちが強いの!」と返していました。
 
また父方の墓は「芸能界で稼いでいる自分が、交通の便利な場所に新しく買わなくちゃ」とも話し、母方のお墓と両方を守っていく気持ちがあるようです。
ニューハーフとはいえ男性。そして愛さんは一家の長男ということですが、そんな決意がポニーテール姿のご本人となんだか結びつかないような違和感を覚えました。
 
戦前の明治民法や家督相続制度では、お墓は長男が継承するものとされていましたが、現民法ではそのような決まりはありません。
定められているのは、前所有者が指定した人がいればその人に。遺言などを残さず誰も指定していなかった場合は、慣習によって決めるということ。
 
つまり「お墓を誰が継ぐか」ということに関して、新民法では原則、生まれ順や男女の縛りはなくなっています。
ですが「墓は長男が守っていく」という認識は、世間一般でまだまだ根強く残っているように思います。私がこれまで耳にしてきた話の範囲ですが、その家で「最初に生まれた男子」は、大なり小なりそんな意識を持っているという印象があります。
 
ですから、長男の愛さんが「自分がお墓を継ぐべき立場」と考えること自体は決して珍しいことではないと思うのですが、言ってしまうと「ニューハーフとして活動していても、気持ちは男子なの?」というところが今ひとつ引っ掛かったのです。
 
すると愛さんは続けて、「子どもの頃から『君はこの家の長男だから、墓守りにならなくちゃ』と言われてきたの」と話しました。
 
なるほどと思いました。生まれついた環境に育まれてきた意識から逃れるということは、どんな人にとっても難しいのかもしれません。
家族や親戚、他の兄弟姉妹が愛さんに、将来の墓守としての役割を期待し、そのことを口にしてきた。そして本人もまた、それを当然のこととして受け止めてきた。
成人して女性の格好や思考が身についていても、場面によってはその「長男」としての意識がひょっこり顔を出すということなのでしょう。
 
余談ですが、共演者から、意外にも男子としての気持ちを表明したことを茶化された愛さんが「ニューハーフは男の職業よ!」と叫んでいて可笑しかったのですが、さらに理解が深まったような気がしました。
 
柿ノ木坂ケイ

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。