お墓選びの第一歩は自己分析?

2018年7月17日

先日、仕事で初めて会った方に著書『間違いだらけのお墓選び』を手渡したところ、突然聞かれた。
「間違っているお墓ってなんですか?」
相手はいかにも真剣な表情で、私をからかうつもりでないことはわかった。核心を突いた質問に出くわし一瞬言葉を失ったものの、こう答えた。
「それは、自分に合っていないお墓だと思います」

なんだか禅問答のようだけど、「宗教」「家族関係」「風俗文化」などが関わってくるお墓は、その人、その家に合っていなければいいお墓とは言えない。

宗教面でいえば、「戒名」もその要件の一つだ。
「原則、寺墓地は戒名を付けないと入れない」ということは割りと知られているけど、さらには、戒名の宗派とお墓があるお寺の宗派とが一致していないとダメな場合もある。
例えば父親が亡くなり、どこのお寺の檀家でもないため、葬儀社にお坊さんを頼む、というようなケース。注意しなくてはいけないのは、そのお坊さんの宗派だ。お葬式のときに付けてもらった戒名は浄土真宗、お寺(墓)は真言宗などと宗派が違えば、付け直しを求められることもある。―お金が2重にかかってしまう事態となる。

数年前、取材で「これぞ理想の石材店!」という出会いがあった。そう思えた理由の一つは、顧客の状況をとことん理解した上でお墓を提案する、営業スタイルにある。青森にあるこの会社では、お客さんが来ると、まず1時間以上かけて話を聞くという。顧客リストを作るためではなく、どんなお墓が適しているかを確認するために。

質問はこんなことだ。

  •     出身地
  •     家の宗派
  •     本家か分家か(長男かどうか)
  •     家族構成
  •     子供の人数と男か女か etc・・・

例えば、「出身地」。
青森のその地域では、お墓参りの際、線香とともにろうそくを供えるのだとか。ろうそくは“先祖の目”と考えられており、2本立てる。そのため、香炉の両端にはろうそく立てが設置されている。また、「仏さんは土に還す」という意識が強く、遺骨は、骨壷からお墓のカロート(納骨棺)にそのまま空けるという。カロートの下は土だ。一方、関東を中心とした地域では、骨壷のまま納め、その後年月を経て土に還すということが多い。お墓の下はコンクリートでその一部が地面になっている。
その土地のやり方に即したお墓の形状があるのだ。

また、実際の聞き取りの中で、顧客が分家初代、子供は一人娘ということであれば、洋型(横長の墓石)を勧めるのだとか。お墓には「○○家」ではなく「ありがとう」「やすらぎ」など好きな言葉を入れることを進言するそうだ。伝統的な和型のお墓にはそういう文字がマッチしない。そして娘が嫁ぎ苗字が変わること、長くお墓が引き継がれることを考慮して。

当たり前だけど、それぞれ家族状況や信仰、慣習は違うわけで、一人一人、その家その家にとってどんなお墓がベストなのかは変わってくる。デザインだったり、ちょっとしたこだわりでお墓を決めてしまいがちだけど、その前に、自分に合ったお墓のスタイルを分析しておくべきなのだ。高い石を使って立派に作ったとしても、諸条件が適合していなければ、「何か違う」お墓になってしまう。最低限、このお墓を買って10年後30年後がどうなるかはシミュレーションしてみたい。
その上でこのような姿勢の石材店を選ぶことも、大切なカギとなる。