「超高齢社会で火葬場が足りない」って本当??

2018年7月17日

「超高齢社会で火葬場が足りない」って本当??

最近、火葬場を取り上げる雑誌やTV番組のタイトルを目にしました。その切り口は「家族が亡くなったときに火葬まで1週間も待たされた。火葬場はその需要に追いついてないのではないか」というもの。いずれも超高齢社会や訪れる多死社会と結びつけているようです。

2015年の日本の死亡数は約129万人でした。同数字が100万人を超えたのが2003年ですから、この10数年で30万人ほど増えていることにはなります。

今回は、遺骨をお墓に納める手前の火葬について、「死者数が増えたから予約がスムーズに取れなくなっている」は本当なのかを検証したいと思います。

1.×火葬待ちではなく「式場待ち」?

火葬場はその名称として「斎場」が使われていたりします。斎場は一般的に葬儀を行う場所を指しますが、その建物内にご遺体を荼毘(だび)に伏す火葬施設の他に、式場が併設されていることがあるからです。
そうしたところでは、同じ場所でお通夜から葬儀告別式、火葬を行うことができるとことになります。

ところで、私ごとですが数年前に義父が亡くなったとき、葬儀・告別式の場所として民営の施設を借りました。自治体が運営する公営の施設が一杯で、5日先まで待たされると知ったからです。
8畳程のコンパクトな式場ながらその使用料は8万円。一方、同じ市内にある公営の方はその数倍の広さがありながら2万円となっていました。

同地域に公営と民営の火葬場がある場合、民営でも火葬料は公営のそれに近づけていることがありますが、費用で差がつくのは式場使用料です。近年は葬儀費用を抑える傾向にありますから、1カ所で式から火葬までができて移動費がかからず、式場の使用料も安いとなれば、公営で式場併設のタイプに人気が集中しがちです。

その結果、火葬の予約というより、式場の空き待ちで数日かかるというケースが生まれるのです。

2.利用時間の集中

では式場のことは抜きにして、火葬の予約も一杯いっぱいかというとそうではないようです。

東京や首都圏での一般的な葬送の流れは次のようになります。
1日目:通夜
2日目:葬儀・告別式→火葬

2日目の葬儀・告別式は午前中に行われることが多く、火葬はお昼前後がベストタイム。設定されている火葬開始時間の中でもそこに予約が集中する一方、午後の最終火葬は余裕があるという状況になりがちです。

予約が集中する時間帯は、全国一律というわけではありません。

皆さんの中には「東北の親戚が亡くなったというので駆けつけてみるとすでにお骨になっていて(火葬を終えていて)驚いた」という経験をされた方がいるかもしれません。

葬儀・告別式の前に故人の遺体を火葬し、焼骨の状態で行う葬儀を「骨葬」といいます。骨葬は東北地方ばかりでなく日本各所に点在してみられます。

骨葬の流れは地域によっても異なりますが、例えば以下のようなやり方があります。
1日目:仮通夜
2日目:火葬→本通夜
3日目:葬儀・告別式

この場合、火葬は本通夜の前の午後の時間帯に行われるため、東京とは逆に午前やお昼の時間帯は予約が取りやすいことになります。
つまりその地域の葬送のやり方により、ある時間帯に申し込みが多いという現象が起きるのです。

これまで見てきたように「火葬待ち」には、式場の予約状況や風習などもからんでいます。まだ「炉をフル回転して予約を入れてもその数に追いつかない」という状況には到っていないものの、さらに死者数の増加が見込まれる今後については不透明です。
現状においても、亡くなる方が増える冬場を中心に「希望の時間帯の予約が難しい」という話しは実際、耳にしています。また、今まで休みとしていた「友引」でも火葬を受け付ける自治体も出てきています。

この先見込まれる社会変化に向け火葬場はどうなるのか、どんな問題点があるのか―。
次回はそんなことを考えていきたいと思っています。

柿ノ木坂ケイ