アンケートから考える、後悔しない〝墓じまい〟

2018年7月17日

アンケートから考える、後悔しない〝墓じまい〟

もうすぐ春のお彼岸。お墓参りを予定している人も多いかと思います。
ところで、その行くはずのお墓が無くなってしまったらどうなのか―。

お墓の通販サイト『お墓まごころ価格.com』(株式会社まごころ価格ドットコム運営)が2015年、全国の墓じまい経験者(20~60代の男女)を対象にアンケートを行っています。
「今後、お墓を継ぐ人がいない」「お墓のある田舎に誰も残っていない」などの理由から、お墓を閉じる、いわゆる〝墓じまい〟をした人たちの意識調査です。

このアンケートでは「墓じまいを決めた当時のお墓管理からの解放に対する期待感」を尋ねると58.0%の人が「期待していた」としています。

ところで、墓じまいをした後、改めてお墓や納骨堂等を購入して遺骨を移すことを「改葬」(=お墓の引っ越し)といいますが、何らかの理由で改葬をしない場合もあります。
アンケートでは、この新たにお墓を建立しなかった53名に「わびしさを感じたかどうか」を質問すると、「感じた」と回答した人が49.1%でした。

お参り、定期的な掃除や手入れが必要。お寺との付き合いもある。お墓が無くなることでそんな手間がかからなくなったものの、「わびしさ」を感じた人がいたのはなぜでしょうか。

ネットリサーチDIMSDRIVEを運営するインターワイヤード株式会社が行った、お墓参りに関する別のアンケート調査(モニター4141名対象)では、「実家のお墓参りに行くかどうか」を尋ねると「行く」と答えた人は67.4%でした。
年代が上になるほどその率は高くなり、70代以上は78.9%ですが、何かと忙しい20代でも52.0%が「行く」と答えていて、お墓参りは若い年代にも引き継がれているようです。

アンケートでは「誰とお墓参りに行くか」も尋ねていますが、「一人で 23.1%」を大きく引き離して一番多かったのは「家族と 85.1%」でした。

また「お墓参りの際に行うことがあるイベント」について尋ねると、「外食をする」が27.7%でした。
「特にない」は66.7%でしたが、「毎年、親族が顔を合わせるのが楽しみ」(女性40代・沖縄)や「墓苑内で、花火をするのが田舎での習慣」(男性60代・九州)「子どもの時にはお弁当を作ってお墓のそばで食べた」(女性50代・北海道)などのコメントもあり、故人を供養するお墓参りでは、家族や親戚が集まり交流していることがわかります。
「お墓が無くなる」ということは、そうした機会が失われることでもあります。

アンケート結果からは、お墓は単に「遺骨を納めるところ」というだけではなく、故人と縁ある人達が集う場所であることが浮かび上がってきます。

「お墓参りをする」という人が7割近くに上ることからわかるように、そうした風習になじみ、子どもの頃から親に連れられてお墓の前で手を合わせてきた人たちにとっては、思い出の場所を失い「わびしさを感じる」ことにつながるのかもしれません。

「少子化」や「地方の過疎化促進」といった事情を背景に、お墓の管理が難しくなり、墓じまいを検討する人はこれからも増えていくと考えられます。
それでは、いざその問題に直面したときにどんなことを準備し、考えればいいでしょうか。

最初にご紹介したアンケートで、墓じまい経験者が挙げた「当初予想していたこととのギャップ」で一番多かったのは「お寺に支払う離檀料 25.0%」、2番目は「墓石解体費 20.0%」でした。
お墓を引き上げるときにそこが寺院墓地であれば、お寺から離檀料が求められることがあります。また墓石が建立されていた墓所を更地にして返還することが原則となります。どんな費用がかかるのか、それらがどのように算出されるのかを事前に調べ、心積もりしておくことも大事なことではあります。

墓じまいにおいて、考えておいた方がいい、もう一つの大切なこと―。
それはお墓を引き上げた後の供養についてです。

特に次のお墓を造らない場合、お彼岸やお盆、年忌供養などの節目をどうするのか。自宅の仏壇の前で手を合わせることで満足できるか。
たとえば海や山で遺骨を撒く散骨を選択するのであれば、お参りの場所をどうするのか。

「お墓という場所がなくなったとき、どのような供養ができるだろうか。その方法に自分たちは心から納得できるのか―」。
そんな視点が必要ではないかと思うのです。

柿ノ木坂ケイ