ふるさと納税で、お墓掃除のサービス?!

2018年7月17日

ふるさと納税で、お墓掃除のサービス?!

自分が住んでいる場所以外の自治体に寄付をすると、税金が軽減される。加えて、その金額に応じた農産物などの返礼品がもらえる「ふるさと納税」の人気が高まっているようです。

ふるさと納税が導入された2008年の総受入額は約5.4億円でしたが、6年後の2014年度は約389.2億円。2015年度は上半期(4月~9月)だけで約453.6億円、約228万件に上っているといいます。

全国の自治体の返礼品を紹介するウェブサイトを覗いてみると牛肉、お米、干物、野菜などなど、各地域の名産がこれでもかと掲載されています。
なかには、米作りやダイビングなど、その地域ならではの体験コースもあり、選択肢の幅が拡がっているようです。

そして、これら品物や体験型ではなく、現地でのあるサービスを提供している自治体もみられます。

大分県の豊後高田市は、今年3月からふるさと納税の返礼品として、お墓の掃除を導入しました。

その名は『ふるさと安心見守りサービス』。
同市に2万円以上の寄付をすると、市から委託を受けた障がい者就労支援施設が、同市内にある墓所(おおむね6㎡まで)の清掃と供花をしてくれるそうです。

「お墓掃除」をふるさと納税の返礼品として加えたいきさつについて、同市企画情報課課長の藤重深雪さんにお話しを聞きました。
「豊後高田市の高齢化率は36%を超えています。こちらにご両親がいてそのお子さんが独立し都市部にいるご家庭が多いと思いますが、その場合、頻繁にお墓参りのために帰ってこられない方がいると思いますので、こうしたサービスでお返ししたいと始めました」

「ふるさと」とは付くものの、自分の出身地以外でも寄付ができるのが、ふるさと納税。現状では、多くの人が返礼品の内容によって寄付先を決めている向きが見受けられます。
一方、豊後高田市の『ふるさと安心見守りサービス』を選ぶということは、そこにお墓がある―。つまり同市に縁を持つ人ということになります。

「ふるさと納税の第一義は、その方の育った本当の意味での〝故郷〟に寄付するのが第一義だと思っていますので、まずは地元出身の方にご寄付をいただいて、その方々が困っていることをお助けするサービスとして行き着いたのが、お墓掃除でした」(藤重課長)

ところで豊後高田市の『ふるさと安心見守りサービス』には、お墓掃除とは別に、「空き家の庭の掃除」のコースが用意されています。
同じく2万円以上の寄付をすると、市内の空き家(おおむね200㎡)の庭を清掃してくれるサービスです。

今、各地で空き家が増えていることは周知の通り。その数は820万戸(2013年)で総住宅数の13.5%にあたります。また、そのうち相続などで取得し、賃貸や売却の予定がない住宅は318万戸でした。こうして管理が行き届かず、放置された空き家が周辺の迷惑となる事態も起きています。

空き家が増える理由の一つとして、たとえば家を相続などで取得しても、それを取り壊して更地にしてしまうと固定資産税が高くなるという税制上の問題がありました(その後、平成27年に「空き家対策特別措置法」が制定されています)。

また、同じくその原因として挙げられるのが「人口減」「高齢化」「核家族化」です。
こうした社会変化、家族形態の変化はまた、「引き継ぐ人が都会に出てしまって、手入れをする人がいない」といった、お墓の問題にも影響を与える要因となっています。

調べてみると、空き家や庭の掃除、お墓掃除やお参りの代行を「ふるさと納税」の返礼品として導入している自治体は、豊後高田市以外にもいくつかあるようです。

寄付の謝礼品として美味しい食材ではなく、故郷に残した家やお墓の手入れを―。今後はそうした、より実用的なサービスを用意する自治体、またそれを選択する人が増えていくのかもしれません。