「キノコの死装束」で、死後もエコな存在に

2018年7月17日

「キノコの死装束」で、死後もエコな存在に

「死装束」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは白い着物(経帷子きょうかたびら)と頭につける三角巾でしょうか。
昨今は着物に限らず、故人が生前に着ていたスーツや洋服を着せることが増えています。女性向けに、ドレスのような死装束を販売する専門店もあります。

そんなか、芸術家のジェー・リム・リーという人が、一風変わった死装束を開発したようです。

死装束は、スピードスケートの選手が着ているウエア、あるいはかつて、とんねるずが演じていた「モジモジくん」を思わせるような、全身を覆う黒のスーツ。そこに菌糸の模様が入っています。

スーツには、人間の死後、その体の有害物質を分解するキノコの胞子が多く縫いつけられているといいます。

https://www.ted.com/talks/jae_rhim_lee

キノコの埋葬スーツ=「キノコの死装束」を開発したリーさんは、人間の体には、食べ物などから摂取した化学物質や有毒汚染物質が含まれ、死後はそれらが環境に戻ると話します。

また死んだ後、死体に充填される化学物質ホルムアルデヒドについても言及します。

遺体を科学的な方法で消毒殺菌、防腐、修復する技術を「エンバーミング」といいます。
火葬率がほぼ100%近い日本ではあまり馴染みのない技術ですが、アメリカでは、全死者の約8割にこのエンバーミングが行われています。

エンバーミングでは、血液を、ホルムアルデヒドが主成分となる溶液と入れ替えます。
遺体の腐敗を止めるための手法ですが、遺体が土葬された後、周辺の土壌汚染の可能性が懸念されています。

そこで、そんな化学物質、有害物質を含む人間の遺体が、自然環境にかける負担を減らすために発案したのが、食用キノコを使ったこの埋葬方法だといいます。

死装束に縫い込まれた胞子は、遺体を栄養分とし、キノコとして成長します。
そして、その過程において土壌が有害な物質を取り込まないよう、それらを浄化するといいます。

見た目はギョッとする形状ですが、
発案者には「人間が地球に与える影響に責任を取ろう」という、真面目な提言があるようです。

ちなみにこの死装束、すでに何百人もの生前予約が入っているとか。

購入するのは、環境への意識が高い人たちであることは間違いないでしょう。
また、この強烈なインパクトを与える「キノコの死装束」を着ることによって、自分が死んだ後においても、それを目にする人々に向けてエコロジカルなメッセージを残すことができるのかもしれません。

柿ノ木坂ケイ