改葬のポイントは〝コミュニケーション〟

2018年7月17日

改葬のポイントは〝コミュニケーション〟

先日、「お墓の相談がしたい」という伯父と会い、直接話を聞いてきました。

伯父は四国出身。大学進学時に東京に来て、そのまま就職。家庭を持ち、現在も都内に住んでいます。

伯父の相談は「四国にあるお墓を地元のお寺に移したいが、どうだろうか」といった〝改葬〟いわゆるお墓の引っ越しに関することでした。

伯父の両親と兄(長男)が眠るお墓は、市町村やお寺が運営する墓地・霊園ではなく、地域で管理する共同墓地の一画にあります。
その共同墓地は山の中腹にあるため、80歳を越えた伯父にはお墓参りが難しくなってきたといいます。

また2人の息子たちに不便な場所にあるお墓を残して、苦労を掛けたくないという思いがあるようです。

伯父の話を聞きながら、3つのことが気になりました。

一つは、亡くなった伯父の兄には、生存する娘がいるということです。
このお墓は共同墓地のため、他の墓地・霊園のように墓所の使用者(お墓の所有者・通常は1人)は明確になっていないようです。ただ、一般的なケースでいえば、現在のお墓の使用者は次男の伯父ではなく、長男筋の娘さんの方が優先順位が上とも考えられます。
まして、お墓にはこの娘さんの父親が入っていることになるため、改葬を検討するのであれば、一度相談する必要があるのではと話しました。

二つ目は、現在のお墓を閉じた後、遺骨を四国のお寺に預けるという方法です。
つまりお墓の形態は変わるものの、場所的には四国→四国へとほとんど変わらない改葬になります。

「生まれ育った地域のお寺さんに、両親と兄を永代供養してもらいたい」という伯父の気持ちはわかりますが、今後お墓参りをするとなると、移動ではそれなりの負担になります。

そこで四国のご遺骨を、伯父や息子たち、そして長男の娘さんが住む東京近辺のお墓や納骨堂に移す選択肢があることを伝えました。
「そうか、そうすれば僕も両親のお墓参りも頻繁にできるね」と、伯父の顔が少し明るくなりました。

三つ目の点、私が最も気になったのは、伯父が2人の息子たちに改葬について話をしていないばかりか、一度もこのお墓に連れて行ったことがないということでした。

伯父の話では、長男の娘さんは、お墓の使用者という意識が薄いようです。
話し合いの結果、もし伯父が使用者になると引き継ぐのはその息子のどちらかになるでしょう。私の従兄弟にあたる彼らが何も知らずにその当事者になったとき、戸惑うことは目に見えています。

伯父に限らず、「子どもの負担を減らしたい」と考えて改葬や墓じまいを検討する中には「自分だけでお墓のことに決着を付けよう」と肩肘を張っているケースが見受けられます。
けれど、いずれ遺骨やお墓を継ぎ、供養する立場の人の視点が欠けていてはベストな選択できるとは思えません。

別々に暮らし、仕事で忙しい子どもたちに〝お墓〟の話題を持ち出すタイミングがみつからないという事情もあるでしょう。
帰り際、伯父は「あいつらも正月ぐらいしか帰ってこないからな」とボヤいていましたが、多くの家庭が似たような状況なのかもしれません。

その数少ない機会がもうすぐ訪れます。
次の代のための改葬を考えるなら、その本人に一度、話を振ってみて下さい。
結論はすぐに出ないかもしれませんが、時間をかけながらでもその意向を確認することで、新たな方向性が見出せるかもしれません。

柿ノ木坂ケイ