「送骨サービス」の出現とニーズ

2018年7月17日

「送骨サービス」の出現とニーズ

火葬した故人の遺骨を、納骨先のお寺にゆうパックで送ることができる―。今、そんなサービスがいくつかのお寺などで提供されています。

「送骨.com」というサイトでは、全国16箇所の送骨を受け付けるお寺などを紹介しています。その後のお墓の利用料で、それぞれ約2~6万円程が提示されています。

先日、納骨希望者向けの送骨サービスを行っている、埼玉県熊谷市のお寺、見性院の橋本住職にお話しをうかがってきました。

永代供養墓を契約する人の宗教・宗派は問われず、戒名を付けなくても納骨を受入れているといいます。
利用者は納骨料(永代供養料)3万円を振込みます。するとお寺から、骨壺を収めるダンボールや緩衝材が入った「送骨パック」が送られてきます。利用者は「埋葬許可書」を同封し、遺骨をお寺まで送付。お寺に到着した遺骨は本堂でお経をあげ供養した後、境内にある永代供養塔に納骨されるシステムだといいます。

送骨サービスの利用は全国から、月に3~5件ほどあるそうです。

見性院がこのサービスを始めたのは2013年のことでした。そのきっかけは「納めたい遺骨があるけれど、場所が遠いので取りに来て欲しい」という声がいくつかあったからだとか。

「全然お付き合いのない親戚の遺骨が、たまたま自分たちの元に来ることがあるんですね。例えば、独身のお姉さんの葬儀を妹家族があげて、その遺骨も引受けた。けれど、そのお姉さんは自宅にずっと内縁の夫の遺骨を持っていたということで、妹さんにすれば『そちらは他人だから引き取るのはイヤだ』と言って申し込まれた方がいました」(橋本住職)

その他、役所から、5歳のとき両親の離婚で別れた父親が亡くなったという連絡を受けて途方に暮れている娘さんもいたそう。
「ご遺骨を粗末に扱うというのではなく、やむを得ず申し込まれるケースがほとんどなのです」

話は変わりますが、昨今、葬儀社に「身寄りのない人が亡くなりました」という連絡が入ることがあります。その場合、最小限の火葬だけを依頼するケースが多く、よくよく話を聞いてみると「身寄りがない」と電話をかけてくる人は、故人の甥っ子姪っ子だったりすることがあるといいます。

子どもの頃何回かしか会ったことがないおじさんやおばさんの死を突然知らされて、その最期の面倒を自分が見なければいけない。そんな状況に戸惑った人が費用を抑えられる、合理的な方法を選んだといったところのようです。

送骨のお話を聞きながら、その様相との共通点を感じました。

遺骨を荷造りして郵送することに抵抗を覚えたり、「冷たい」と考える人がいることでしょう。
ただ実際のところでは、自分の親や家族の遺骨というよりは、これまでほとんど交流がない遠い親戚や縁の薄かった血縁関係者に対しての利用が多数を占めているようです。

昨今の葬儀の簡素化の要因として、核家族化や血縁関係の希薄化などがあげられますが、そのことや、離婚率の上昇などから家族形態が複雑化していることなども「送骨サービス」を求める声の背景となっているのではないでしょうか。

柿ノ木坂ケイ