終活をめぐる〝縁〟

2018年7月17日

終活をめぐる〝縁〟

「シュウカツ」と聞いて、あなたが思い浮かべるのは〝就活〟それとも〝終活〟の方でしょうか。

後者の「終活」の方は、葬儀、墓、相続、介護など人生の締めくくりのあれこれを生前に考え、準備する活動のこと。

この言葉が生まれたのは2009年と、比較的最近のことです。

ある週刊誌の特集記事タイトルで使われたことをきっかけに、マスコミで取り上げられるようになると、2012年にはユーキャン新語・流行語大賞のトップテンにノミネートされるなど、ある程度認知される言葉になっているようです。

今では関連分野の葬儀社、墓石店、行政書士、司法書士、保険会社などが出展する「終活フェア」と呼ばれる催し物が、全国各所で行われるようにもなりました。
実際そこに足を運んでみると、次々と出展者に声をかけられ、名前や連絡先の記入を求められ……といった体験をされた方もいるかもしれません。

終活が注目されている今、この時流をとらえようとする企業や書士先生方がいるのは確かでしょう。
ただ、この終活ブームは、業者側が一方的に仕掛けた動きとも言い切れず、消費者側の事情が多分に関係しているのです。

例えば家族形態の変化。核家族化、少子化、非婚化など家族のあり方が以前とはかなり変わってきています。

厚生労働省が3年おきに行っている「国民生活基礎調査」によると、65歳以上の人がいる世帯について、1986年(昭和61)では「3世代世帯」が44.8%でしたが、2013年(平成25)になると13.2%に減少しました。
代わって顕著な増加を示したのは「夫婦のみの世帯」(1986年18.2%→2013年31.1%)と「単独世帯」(1986年13.1%→2013年25.6%)でした。

サザエさん一家のように、波平さんフネさんが子どもや孫と一緒に暮らす、3世代同居は減っています。一家を例にとると、サザエさんが結婚とともに親元を離れて波平さん夫婦だけに。そして夫婦どちらかが亡くなると一人になる。そんな家族が増えています。

生涯、結婚をしないで独り身という方もいます。
結婚をして子どもがいても、離れて暮らしていると頻繁にコミュニケーションをとることが難しくなります。かといって、特に都市部では「ご近所さんと助け合ってお葬式を出す」といった風潮は後退し、むしろ「ご近所さんには、家族が死んだことを隠しておきたい」と考えるケースは珍しくなくなりました。

家族にも地域にも頼れないとなると、「ある程度、自分たちのことは自分たちで考えておかなくては」という状況が発生します。
「終活」には、地縁・血縁に代わるサポート役を探るという側面があるのです。

実際、終活をテーマにした雑誌が売れている地域は、都市部です。地元のつながりや親戚関係が残っている地域では、逆に終活は、特に必要が迫られていることではないのでしょう。

「いろいろな縁が希薄になっている社会だからこそ、終活が求められている」というと、なにか寂しい印象がありますが、だからこそ新しい縁をつくろうとする動きもみられます。

そんなより前向きなお話しもいずれまた、別の機会に―。