離檀料をどうするか

2018年7月17日

先日、パラパラと雑誌を見ていると〝改葬〟=お墓の引越し特集が。そこには「寺院墓地の場合、離檀料を払うのが常識」と書かれていました。

離檀料とは、檀家をやめる=お寺を離れるときに払う、一種のお布施を指す言葉です。

つまり家のお墓を引き上げる場合、同時に檀家ではなくなるため、その際にお寺へ渡すお金のことになりますが、雑誌に書かれていたように「払うのが常識」ということについては、実はお寺側でも見解が分かれるところです。
はっきりと「離檀料なんて払う必要はない」と口にする僧侶もいます。

檀那寺と檀家という、寺と家を結びつけるシステムは江戸時代に生まれました。その後、幕府がキリシタン禁圧のために設けた寺請制度によって、すべての人、家がどこかのお寺の檀家として属することになったのです。
しかしご存知のように、この寺請制度は明治時代に廃止されています。すでにそのような決まりはなく、また現憲法では「信教の自由」が保障されているのにも関わらず、檀家をやめるからといってそのためのお金を渡す必要はない、法的根拠がないというわけです。

ですが、それが理論上正しいことでも、現実にはお寺にとって檀家を失うこと=経営基盤の一端を失うことでもあるため、代々続いてきたお墓を閉じることに難色を示すところもあります。
改葬に必要な書類にはお寺の印が必要なため、話がこじれると、ことがスムーズに進みません。

特集ではまた、「トラブルを避けるためにも、お寺には前もって相談をしておきましょう」といったアドバイスもありましたが、もちろん事前の相談は必須です。
お墓を引き上げざるを得ない状況を丁寧にご説明することが、改葬においてポイントになることは間違いないでしょう。

では、「離檀料は払うべきか、払わなくていいのか」ですが、その檀家さんとお寺との関係・各事情によって答えは変わってきます。

例えばですが、こうした問題に詳しいある行政書士の先生は、お寺の墓地でも管理料を毎年受取っていないような場合は、改葬の際に檀家さんが年数に合わせて支払うことをアドバイスしているといいます。

一般的にお寺では、朝晩の〝お勤め〟といってお経をあげています。檀家さんの亡くなった家族や先祖に対し、死者供養をしているのです。

寺院墓地を買い求めるということは、お寺の敷地に遺骨を納めるだけではなく、そのお寺の檀家となって経営を支える立場になることでもあります。
その役割から考えると、日々のお勤め=先祖への供養に対して、その分お包みしてもいいという結論が出ることもあるでしょう。

離檀料についてはいろいろな考え方があり、支払いについてもケース・バイ・ケースですが、寺院墓地の改葬の際は書類上の手続きだけではなく、きわけて人間的なやり取りが求められるということは、どこか頭の片隅に入れておく必要があるのです。