「花火をお墓でやらずに、どこでするんですか?」

2018年7月17日

「お墓で花火」って聞くと、思わず「悪ガキのいたずら?」と眉をひそめたくもなる話。
だけど、見ると小さな子供から大人までが、墓地のあちこちで次々に花火を上げている?!
山の斜面に段々に建てられたお墓の中、「ヒュンヒュン」「「バチッバチッ」の音とともに飛び散る火花。
立ち上る白煙・・・。

その意外性ある光景を目にしたのは、日本テレビ『秘密のケンミンショー』(3/22放送)でのこと。
「就寝前『屁でもこいて寝るワ』と口にする」〔大阪府〕「鳥居を見たら石を投げる(=石が上に載ると願いがかなうと考えられている)」〔山口県〕など、その県その地域でしか通用しないような、言葉や食べ物、行動を次々に紹介するバラエティー特番だ。
スタジオには50人の芸能人が集まり、出身都道府県の代表として、その隠れた常識を弁明する。

先程の映像に続き画面には、「長崎県民は墓地でお盆に花火をする」のテロップが。

ちょっと目を疑うような話しではあるけど、よく考えてみれば長崎といえば昔から他国との交流の窓口だったワケで、鎖国時代は貿易港として栄えた地。
今でも中華街があるし、「長崎くんち」では龍の飾りを使った踊りがあったはず。
やはり、お正月や墓参りで爆竹を使う中国文化の影響?
それとも、花火は故人や祖先のための、チョット派手目な“迎え火”?

参考のため長崎歴史文化博物館に伺ってみた。
「長崎では、江戸時代から“音火矢(おとびや)”といって、お盆に大名屋敷で、空に向けて打っていましたよ。
中国の影響じゃないでしょうか」というお答え。

『1988年版 長崎事典 風俗文化編』(長崎文献社)によれば、安政2年(1855年)、市民に対し花火を規制する訓令が出ているらしい。
また「大正6年にも時間短縮の注意が出ているが何れも守られていない」(同書)とあって、100年以上に渡って一般に浸透していることが伺える。

そんなワケで「お盆に墓地で花火」は長崎県民にとっては“秘密”でもなんでもなく、フツーのこと。
他県出身者に揶揄された長崎代表のタレント金子昇が(ややバラエティっぽくも)「墓地以外、どこで花火するんですかぁ??」と返していて可笑しかった。

現在では8月に行なわれる長崎のお盆の流れは大よそ次のようだ。
11、12日墓所の掃除/13日精霊棚飾り、各家で門提灯を掲げる/14日墓所の灯籠点灯、墓参り/15日精霊流し/16日~月末まで送り灯籠をともす。

初盆を除けば、14・15日の墓参りの際花火をするらしい。
また番組によると、この期間、墓地前には花火の屋台が出てロケット花火や爆竹と、一家で2~10万円(!)使うとか。
金子昇は幼少の頃、「〝お墓参り〝が大好きだった」とコメント。
確かに子供にとっては、それだけの量を親やお坊さん公認でできるのはワクワク気分に違いない。

供養の一環でありながら、楽しいイベントだからこそ根付いた風習かと勝手に想像してみた。

ひとたび自分のお盆体験を振り返ってみると、お墓で線香と花を供える程度。両親が東京出身者だからなのか、「迎え火」「送り火」、胡瓜で馬をナスで牛を作った経験がなく、正直、長崎のお盆のような個性ある行事がうらやましい。

中学生になってから、いわゆる新興住宅地に引越し、お祭りやら年中行事やらそんなことからますます縁遠くなった。
多感な時期でもあって、その地にはなかなか馴染むことができなかった。
もし、あの地域ならでは、といった風習に触れることでもあったら、もしかしてあの場所あの時代が少しは好きになれたのかな、などと思いを巡らせた。