永代供養墓とは

2018年3月25日

「永代供養墓」という言葉を耳にしたり、広告などで目にした方もいらっしゃることでしょう。一般的なお墓との違いはどこにあるのでしょうか。

お墓の新たな選択肢となった永代供養墓がどのような経緯で登場したのか、またそのメリット・デメリットなどについてみていきましょう。

「永代供養墓」という言葉は法律では使われていません。そのため法的な定義はありませんが、一般的には「継承者がいてもいなくても購入することができることができるお墓」を意味します。より細かく言えば、お墓の種類というよりは、(遺族に代わって)永代供養というサービスを提供してくれるお墓となります。

メモリアルガーデン三鷹 屋内永代供養墓「さくら堂」

これまでのお墓は「家」を単位とし、代々受け継がれることを前提としていました。ところが近年は核家族化や少子化など、家族形態が変化しています。

また仕事などの関係で都市部に移る人は着実に増えています。「生まれた場所に一生涯住み続ける」とは限らず、代々お墓を守ることの限界が生じているのです。

そのような社会変化に適応するお墓が「永代供養墓」です。

たとえば「私たち夫婦には子どもがいない」という場合でも、契約を断れることなく、生前に申し込んでおくことができます。遺骨の有無は問われません。

また納骨後は、お彼岸やお盆などに合同の法要が行われます。霊園・墓地の管理者が親族などに代わり、永続的にお墓の管理と供養をしてくれるのです。

これまで、後継ぎがいない人たちにとって「自分の死んだ後、誰が供養してくれるのだろう」という悩みはつきものでしたが、それを解消してくれるのが永代供養墓ということになります。

永代供養墓とは?

1.継承者(後継ぎ)の有無に関係なく、申込みができる。

2.生前に申込みができる(遺骨の有無は問われない)。

3.墓地の管理者によって永続的に管理・供養される。

永代供養墓の種類

「永代供養墓」といっても、その形状はさまざまです。一部、個別の墓石を使うところもありますが、ほとんどは共同のスペースに納骨されます。いくつか例をみていきましょう。

〔形状から分類した永代供養墓〕

A.納骨塔型地下に納骨室があり、その上に釈迦像などの仏像や仏塔、または宗教色のないモニュメントなどが載せられたタイプ

B.納骨堂型地上に納骨室が設けられたタイプ。人が入れるスペースぎりぎりのところから、ビルのように大型の建物まで規模の大小はさまざま

C.納骨稜型:古墳のように、上に土を盛ったタイプ

D.霊廟:屋内に、個別に納骨するロッカー等を設けたタイプ

E.集合式:一ヵ所に個別の石碑を並べたタイプ

F.個別墓個別の石塔を建て、納骨するタイプ

「合葬」と「合祀」の違いは?

永代供養墓の多くが、納骨室を共同で使用します。こうした納骨方法を「合葬」といい、合葬式のお墓を「合葬墓」と呼ぶことがあります。

なお、公営霊園では宗教的意味を持つ言葉を使わないため、いわゆる永代供養墓を「合葬墓」「合葬式墓所」「合葬式納骨施設」などの名称としています。

また永代供養墓では、骨壺で納骨するところが中心ですが、永久に骨壺のままかというとそうではありません。一定の決められた供養期間が終わると、同じ墓地・霊園などにある墓に合祀されることが一般的です。

「合祀(ごうし)」とは、骨壺から遺骨を出し、一ヵ所にまとめて埋葬することを指します。

また永代供養墓の一部では、最初から合祀の方法を取ることがあります。その場合、他の遺骨と一緒に埋葬されることになります。

永代供養墓の歴史

今では各地にみられる永代供養墓ですが、その流れをつくった2つのお墓を紹介しましょう。

安穏廟

新潟県の角田山妙光寺というお寺が、1989年「安穏廟」と名付けた、継承者がいない人でも申込みができるお墓を開設しました。古墳のように土が盛られた上に塔が載せられた形状で、1基108区画が設けられました。

もやいの碑

同じく1989年、東京都豊島区巣鴨の「すがも平和霊苑」内に、会員制の永代供養墓「もやいの碑」が開設されました。霊園や経営主体のお寺とは別組織の「もやいの会」に入会すると「もやいの碑」に埋蔵されます。一部の遺骨を納骨する方式(残りの遺骨は骨壺に入れて合祀)ながら、10万円(年会費・入会費別)という抑えた費用でした。

「安穏廟」「もやいの碑」は血縁関係にない人たちが一緒に入るお墓で、どちらも会員制度を取り入れました。

これまでにないお墓のあり方、そしてお寺を支えてきた檀家制度とは違うシステムを導入したことが注目されたのです。

こうしたパイオニア的存在が示したお墓の新しい方向性は次第に影響を及ぼし、他の民営霊園や寺院墓地、公営霊園でも徐々に永代供養墓が造られるようになりました。

なお「安穏廟」の角田山妙光寺では、毎年、永代供養墓の契約者、お寺の檀信徒、地域の人が参加するフェスティバル安穏を開催。合同供養の目的もありながら、関係者の交流する場となっています。

まだその数は少ないものの、永代供養墓の中には契約者の生前交流の場を設けているところもあり、同じお墓に入る人同士を指す「墓友」なる言葉も生まれています。

永代供養墓の相場と費用

金額を左右するのは、まず場所・立地です。一般的なお墓と同じく、土地価格が高い場所であればおのずとその金額も上がります。

またその開設費用も関わっています。たとえば、同じ納骨堂でも、礼拝室や法要のための部屋などを持つ立派な建物を造れば、その費用が金額に反映されてきます。

その他、金額を決める、永代供養墓ならではの以下のような条件もあります。

○個別の供養年数

○納骨方法 個別・合葬・合祀

○何人分の納骨ができるか 1人用・2人用・家族用など

前述したように、永代供養墓はそれぞれ個別の供養期間が決められて、その後は骨壺から遺骨が合祀されることが一般的です。7年、13年、25年など仏教的な法要年数に合わせているところが多く、その年数によって金額は変わってきます。

同じく、納骨できる人数によっても金額が変わります。

また納骨方法でいえば、最初から遺骨を骨壺から出して土に還す「合祀」は金額が抑えられています。このタイプであれば3万円というところもあります。

一方、永代供養墓でありながら150万円、なかには300万円以上と一般のお墓と変わらないような金額のところもあります。

諸条件により費用には幅があって、相場について一概には言えませんが、100万円以下、30~90万円がボリュームゾーンとなっているようです。

なお「公営霊園」と、「民営霊園」「寺院墓地」で言えば、やはり自治体が運営する公営霊園の方が金額は低く抑えられていて1体数万円、なかには1万円以下で申込みができるところもあります。

永代供養墓の場合、管理費はどうなる?

一般的なお墓では毎年、管理費の支払いが求められますが、永代供養墓の場合はどうでしょうか。

代々引き継ぐことを前提としない永代供養墓は、最初に支払う使用料に管理費が含まれていたり、契約時に一括で支払うことが一般的です。または契約者が生きている間、生前にのみ年間管理費として毎年徴収するところもみられます。

なお、寺院墓地で檀家になることを条件にしているところでは、別途、入檀料を支払う場合があります。

永代供養墓のメリット・デメリット

永代供養墓のメリット

一般的な代々引き継ぐタイプのお墓と違い、永代供養墓は後継ぎがいてもいなくても購入できることが最大のメリットです。

子どもがいないというケースの他、「娘一人だけ」「結婚するかどうか未定」といった場合でも、お墓の継承を気にすることなく契約ができます。

また永代供養墓を選択する人の中には、たとえ子どもがいても「お参りや費用のことで迷惑をかけたくない」と考える人もいます。

納骨後は一定期間の供養が保証されていますから、「自分が死んでもお参りしてくれる人がいない」という不安を解消してくれます。

費用は一部高いところもありますが、個別の石塔を建てるより安い価格での選択も可能です。

また寺院墓地で一般的な石塔のお墓の場合は原則、檀家になることが求められますが、「永代供養墓」については宗旨宗派や檀家についての条件を付けない寺院も増えています。

(※条件については、各寺院への確認が必要です)

永代供養墓のデメリット

デメリットとしては、お墓参りの際、一般墓に比べ制限が設けられていることが挙げられます。

一般のお墓であれば、それぞれの墓石の前で手を合わせることができますが、永代供養墓の場合、お参りの場所が一ヵ所に決められていることがあります。

また、屋内の納骨堂などでは「お線香(火気)禁止」といった制限を設けていたりします。契約前に、お参りの方法についても確認しておきましょう。

まとめ

「永代供養墓」は代々引き継ぐことを前提としない、新しいタイプのお墓です。核家族化や少子化などを背景として80年代後半に誕生し、現在では墓地の経営主体を問わず造られています。

永代供養墓は、墓地の管理者が故人の縁故者に代わって供養をしてくれるという点からも支持を得ています。

金額的には数万円から300万円程度まで幅広くなっていますが、全体的に、一般的な石のお墓を建てる費用よりは抑えることができます。