お墓・墓石のデザインについて – 和型・洋型

2018年3月29日

日本の墓地で見かけるお墓は、その多くが伝統的な和型の墓石です。しかし、最近では個性的なオリジナルのお墓も増えてきました。ここでは、和型の墓石や洋型の墓石の特徴、そして近年におけるお墓のトレンドについてご紹介します。

墓石の原型は、お釈迦様の遺骨などを安置した仏教建築「ストゥーパ」であるといわれています。

ストゥーパには多くの様式がありますが、日本の墓石は層塔のデザインのストゥーパを踏襲していました。

今日でも、もっとも一般的に用いられているのは伝統的な和型の墓石ではないでしょうか。

しかし、霊園の普及とともに少しずつ墓石の好みも変化してきました。モダンさを取り入れた好きなデザインの墓石を選ぶという考え方も、広く浸透しつつあるようです。

お墓のデザインの意匠

個性的な墓石が受け入れられるようになってから、石材店でもさまざまなデザインの墓石に対応するようになりました。

しかし、それと同時に増えたのが「意匠」に関するトラブルです。

お客さんの注文に応えるために石材店が他社の墓石のデザインを真似ているケースもあるようです。

しかし、意匠登録を済ませている墓石のデザインを安易に真似てしまうと法に抵触してしまう可能性があります。意匠権を侵害したと判断された場合は、損害賠償の請求や使用の差止請求などが行われます。

なお、この類似のデザインの墓石があると知らなかった場合についても同様の処置がとられます。

墓地や霊園を見学したときに、素敵な墓石を見かけることがあるかもしれません。

しかし、それを安易にまねてしまうとトラブルに発展する可能性があります。

新しいデザインの墓石をつくろうと考えている人は、意匠についても頭に入れておくとよいでしょう。

意匠とは

意匠とは、物品あるいは物品の外観に現れるデザインのことです。

自分のデザインが意匠登録をされると「意匠権」が発生し、意匠権を得たデザインが使用された物品を独占して販売することができるようになります。

意匠権を得るためには、特許庁に意匠登録を出願する必要があります。また、このときに、出願した内容が審査に合格して初めて、意匠権を得ることができます。

なお、意匠権の存族期間は20年とされています。

意匠登録を得るためには、以下の3つの条件を満たしている必要があります。

 

・物品あるいは物品の部分における形状・模様・色彩に関するデザインであること

意匠とは、物品あるいは物品の外観に関するデザインです。モチーフなど、物品ではないものは意匠登録を得ることはできません。

・工業上利用できる(量産できる)もの

遺書の定義として、はっきりと「工業上使用できる」と定められているわけではありません。しかし、量産できないものは意匠登録の対象からは除かれます。

・視覚を通じて美感を起こさせるもの

 

これら3つの条件をクリアしたうえで、これまでに世の中で発表されていない新しいデザインのみが意匠登録の審査に合格できます。

和型の墓石の構成

一般的な和型の墓石は、三段あるいは四段の構成になっています。

四段の場合は上から「棹石(さおいし)」「上台石」「中台石」「芝石(芝台)」となっており、棹石は「天(家庭円満)」、上台石は「人(人望・出世)」、中台石は「地(財産維持)」を表しているといわれています。

なお棹石のサイズは横幅によって分類されており、24㎝の八寸角、27㎝の九寸角、30㎝の尺角などがあります。

和型の墓石に備えられているものとしては、お線香をたくための「香炉(こうろ)」、生花を飾る「花立(はなたて)」、水をいれておく「水鉢(みずはち)」、墓石の前に置かれている「拝石(はいせき)」などがあります。

地下に納骨棺がある構造のお墓では、排石が置かれているところの下に納骨棺の入り口があります。

和型の墓石には、家名が入れられるのが一般的です。

また、宗派によっては「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」などの文字が入れられることもあります。

洋型の墓石の構成

日本の伝統的な墓石は和型の墓石で、現在でも墓石の大半は和型が占めています。

しかし、最近では洋型の墓石を選ぶ人も増えてきました。洋型の墓石が普及した背景としては、ガーデニング霊園や芝生墓地、民営の霊園や墓地の出現が挙げられます。

もともとはキリスト教式の墓石から派生したといわれている洋型の墓石ですが、宗教・宗派を問わず使用することができます。

洋型の墓石が広まったのは単に西洋化が進んでいるからという理由だけではなく、以下のようなメリットがあるからだと考えられます。

洋型の墓石のメリット

・外柵工事などをする必要がないことが多く、和型の墓石に比べて安価での建立が可能。

・自由度が高く、オリジナルのデザインや彫刻をしやすい。

・少ない墓石量、小さなスペースで墓石を建立できる。

・白系や黒系だけではなく、明るい色の石も利用することができる。

・和型の墓石に比べて背が低いため、地震に強い。

一般的な洋型の墓石としては、棹石の部分が垂直になっている「ストレート型」や棹石の部分がオルガンのように斜めになっている「オルガン型」などがあります。

どちらも台石は1つまたは2つで、和型の墓石と同様にほとんどの場合は香炉や花立、水鉢などが備えられています。

和型の墓石には家名を入れることが一般的ですが、洋型の墓石では故人への想いを込めたメッセージを彫るのが一般的です。思い思いの文字を刻むことができるのも、人気の理由の一つとなっています。

お墓も個性?お墓のトレンド

近年では、和型や洋型といった伝統的な墓石だけにこだわらない、個性的なオリジナルのお墓が目立つようになりました。

オリジナルのお墓の中でも、石材店がデザインしたものは「デザイン墓石」、施主がデザインしたものは「オリジナルデザイン墓石」、そしてプロのデザイナーがデザインしたものは「デザイナーズブランド墓石」と呼ばれます。

故人をイメージしたデザイン

故人をイメージした個性的な墓石には「在りし日の故人をお墓から感じたい」という気持ちが込められています。故人をイメージした墓石を選ぶことで、お墓参りのたびに故人の存在を感じることができます。

特にオリジナルデザイン墓石は、故人が愛したものをモチーフにしたデザインが多くみられます。故人が愛煙家だったならタバコをイメージしたデザインをあしらう、将棋が好きだったなら将棋盤の形の墓石にする、などです。

人気の彫刻

また、墓石への彫刻モチーフとしてはお花も人気です。特に和を感じさせる「桜」や清らかなイメージのある「百合」、お釈迦様を象徴する「蓮華」などは根強い人気を誇っています。

お花をモチーフにした彫刻を彫りたいときには、その花のイメージや花言葉などを考えながら決めるといいかもしれません。

なお、墓石に文字やデザインを詰め込み過ぎるとバランスが悪くなってしまいます。

また最近では彫刻技術も進歩を遂げていますが、あまりにも細かいデザインだと彫れなくなってしまいます。

最終的な仕上がりをイメージしながらデザインを考えるといいでしょう。

近年では、多くの石材店がCGを取り入れています。

実際に墓石を立てる前に仕上がりのイメージを確認することができるので、失敗を避けるためにもぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

はっとする彫刻

霊園などでよく見かけるのが、漢字1文字の彫刻です。

大きく彫ることができるので、しっかりと文字を刻むことができるのがメリットです。また、デザインしやすく見た目がすっきりとまとまります。

墓石に彫られることの多い漢字としては、「偲(しのぶ)」「悠(はるか)」「想(おもい)」「絆(きずな)」「心(こころ)」「和(わ)」「憩(いこい)」などがあります。

1文字だと見た目が少し寂しくなってしまうこともあるので、花の彫刻も入れて華やかな雰囲気にする人も多いようです。

また、短いメッセージを彫ることもできます。

「ありがとう」「あなたに逢えてよかった」「心やすらかに」「また会う日まで」など、故人に一番伝えたい思いを墓石に刻みましょう。

もちろん、これよりも長いメッセージを彫刻することも可能です。ただし、メッセージが長すぎると文字が小さくなってしまうので注意してください。

こんなお墓も!?海外のお墓のデザイン

世界のお墓の中には、びっくりしてしまうようなデザインのものもあります。

例えば、墓石が車やバイク、ビリヤード、本、サッカーボールなどの形をしているお墓です。

決してイラストが墓石に彫られているわけではなく、墓石そのものがこれらの形になっています。恐らく、故人が生前に愛したものを全力で表現したのでしょう。

また、故人をそのままかたどった墓石も存在します。等身大の墓石だと、もはやお墓というよりは銅像のように思えますね。墓石量も相当になるので、本人をかたどったお墓を立てるために遺族が相当な苦労をしたことは間違いありません。

従来のお墓のイメージとあまりにも違うと、やはり周りはびっくりしてしまいます。しかし、ここまで個性的なお墓を立てるのは簡単ではないはずです。そこには、故人への深い愛情が込められているのかもしれませんね。

おわりに

現在でも、「旧来の伝統を継承したい」という思いから多くの人は和型の墓石を選んでいます。

しかし、個性的なお墓を立てることは決して悪いことではありません。

「故人らしいお墓を立てたい」と思う人は、ぜひオリジナルデザイン墓石を検討してみてはいかがでしょうか。