公営霊園の申し込み方法/募集スケジュールとよくある質問

代表的なお墓の種類としては、寺院墓地民営霊園、そして公営霊園があります。お墓を立てるときには、まずどのお墓で故人を供養したいかを決めることが大切です。
公営霊園は様々なメリットがあり、とても魅力的です。しかし、住んでいる地域の条件を満たさなければ使用できなかったり、応募者多数の場合は抽選となってしまったりすることがあります。そのため、情報収集は不可欠です。

ここでは公営霊園の特徴や申し込み方法、さらに公営霊園のひとつである都立霊園についてまとめました。公営霊園は、特にお墓を立てる費用を抑えたい人にとって有力な選択肢です。公営霊園を検討したい、という方はぜひご参考ください。

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公営霊園とは

お墓にはさまざまな形態があります。中でも都道府県や市町村などの地方自治体が運営している霊園のことを公営霊園といいます。

公営霊園のメリット

公営霊園のメリットとしては、費用が比較的安価であることが挙げられます。

公営霊園の使用料や管理料は寺院墓地や民営霊園と比べると低めに設定されている場合が多いようです。そのため、お墓の維持費を抑えることができます。

また、公営霊園は寺院墓地や民営霊園に比べて制限も少ないといえます。

宗教の制約がないため、どの宗教・宗派の人でも公営霊園を使用することができます。

また、公営霊園であれば石材店の指定がありません。複数の石材店を比較して選べるのも、公営霊園の大きなメリットだといえるでしょう。

さらに、区画などによっては、高さ等の制限を設けている場合もありますが、墓石の大きさや形についての制約もそれほど多くはないようです。個性的なオリジナルデザイン墓石も、公営霊園であれば立てやすいといえます。

公営霊園のデメリット

しかし、公営霊園にも当然ながらデメリットはあります。

まず、誰もが公営霊園を使用できるわけではないということです。

公営霊園を使用するためには各、地方自治体が定めている条件を満たしている必要があります。その地域に短期間しか居住していない場合などは、公営霊園でお墓を持つことは難しいといえるでしょう。

また、条件を満たしていればそれでお墓を立てられるというわけでもありません。なぜなら、公営霊園では常に募集をかけているわけではないからです。申し込みの期間が限定されているうえに、申込者が多い場合には抽選となってしまうのです。

さらに希望の区画を選ぶことができないのも公営霊園のデメリットの一つで、トイレの近くなどの区画が割り当てられてしまうこともあります。そのため、気に入った霊園だったとしても区画によっては「こんなはずじゃなかった」ということになりかねません。

このように、公営霊園にはメリットとデメリットのどちらもあります。

「地方自治体が運営しているから」という安心感から公営霊園を選ぶ人も多いようですが、後になって後悔しないためにも公営霊園の特徴についてしっかりと把握しておく必要があります。

なお、最近では公営霊園でもさまざまな墓地のスタイルが生まれています。

例えば、明るいイメージの「公園墓地」、欧米風スタイルの「芝生墓地」、墓碑があらかじめ用意されている「壁型墓地」、限られた土地を有効活用した「立体式墓地」などです。

墓地のスタイルによって雰囲気は大きく変わるので、公営霊園の申し込みをする前に一度見学に行くことをおすすめします。

公営霊園の募集の仕組み

公営霊園は古くから使用されているため、霊園によっては空き区画がほぼありません。

そのため、ある程度の数の返還墓地が確保できて初めて募集が開始されます。

どのくらいの頻度で募集が行われるかはそれぞれの公営霊園で異なり、毎年同じ時期に公募が行われる霊園もあれば、何年も公募が行われていない霊園もあります。

また、公営霊園は募集の頻度が少ないため倍率も高くなります。

そのため、何度も申し込みを行っているにもかかわらず抽選で漏れてしまい、公営霊園にお墓を立てられないという人もいるようです。

公営霊園によっては落選数が多い人を優遇する場合もあるようですが、人気の高い都市部の公営霊園ではそのような優遇措置は行っていません。

公営墓地への申し込みの流れ

公営霊園への申し込みは、以下のような流れで行います。

公募情報の確認

公営霊園の募集は常時行われているわけではありません。自治体のホームページや広報、窓口などで公募情報について確認しましょう。

申込書の入手

公募情報が出たら、申込書の配布場所や配布期間を確認して入手します。

申込資格および期間の確認

自分が申込資格を満たしているかどうかを確認します。また、申し込みの締め切り日も必ず確認してください。

申し込み手続き

申し込みの手続きを行います。入手した申込書に記入し、締め切り日までに提出を行いましょう。

抽選

応募者数が募集している数を上回った場合は、抽選が行われます。これによって、墓地使用者が決定します。

資格審査

資格審査を受けます。定められた期間内に、住民票や戸籍謄本などの必要書類を準備しましょう。

使用料、管理料の支払い

資格審査に通ったら、使用料と管理料を支払います。

使用許可証の発行

使用料と管理料の納付を済ませて、初めて使用許可証が発行されます。

公営霊園の使用開始

使用許可証を受け取って、初めて割り振られた墓地に墓石を立てることができます。

公営霊園の申し込み手順は、ものすごく煩雑というわけではありません。しかし、もっとも気を付けたいのは申込資格についてです。申込資格を満たしていない場合はたとえ当選したとしても無効になってしまうので、あらかじめしっかりと確認しましょう。

なお、多くの自治体で定められている申込資格としては以下が挙げられます。

・申込者本人が〇年間以上にわたって該当地域に居住している

・申込者本人が申込遺骨の祭祀の主宰者である

・今まで一度も埋葬されていない遺骨を所持している

・〇年以内にお墓を立てることができる

・申込できるのは1世帯あたり1区画のみ

公営霊園の公募の際に記載されている料金は使用料および管理料の合計金額です。

実際にお墓を立てるときには、記載されている金額にプラスして墓石代がかかることに注意してください。

公営霊園の運営は自治体によってさまざま!中にはこんな自治体も

原則として、申し込みできる公営霊園は申込者が居住している自治体の公営霊園のみです。しかし、一部の自治体は例外となっています。

例えば、神奈川県愛甲郡清川村にある宮ケ瀬霊園における応募資格は以下のようになっています。

宮ケ瀬霊園の応募資格

・清川村に在住している

・清川村内にある事業所などに勤めている

・近隣の市あるいは町(厚木市、愛川町、相模原市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市、山北町、秦野市、伊勢原市)に在住している

・申込者あるいはその配偶者が清川村に本籍をおいていた、あるいは住民登録をしていた

自治体によって申し込みの条件は大きく異なります。

公営霊園の使用を考えている場合は、自分が居住している自治体が運営している公営霊園だけではなく、近隣の市町村にある公営霊園についても調べているといいかもしれません。

東京都の公営霊園の仕組み

公営霊園の中でも、東京都の公営霊園は「都立霊園」と呼ばれています。ここでは、都立霊園についてご紹介します。

東京都の公営霊園の管理者

都立霊園と一般的な公営霊園の大きな違いは、管理者です。

都立霊園の事業主体は東京都ですが、実際に管理および運営を行っているのは「公益財団法人 東京都公園協会」です。

しかし、最近では「指定管理者制度」によって都立霊園以外の公営霊園でも管理・運営を民間企業に委託できるようになりました。

例えば横浜市営墓地「メモリアルグリーン」の管理は、指定管理者である「アメニスメモリアルグリーン共同事業体」が行っています。

東京都?千葉県?八柱霊園とは

八柱霊園は、1935年に東京都が東方墓地として開設した都立霊園です。しかし、都立霊園とはいうものの、実は千葉県松戸市に立地しています。

都立霊園を使用できるのは、通常は都内在住者のみに限られています。しかし、八柱霊園はその立地条件から例外が設けられており、松戸市民もこの霊園を使用することができます。なおこちらの霊園は著名人のお墓があることでも知られており、西條八十や嘉納治五郎、松山恵子などのお墓はこの霊園内に立てられています。

東京都の公営霊園の募集

東京都の公営霊園における申し込みの流れは、以下の通りです。

公募情報の確認

都立霊園の公募が行われるのは、基本的に年1回、7月です。募集の公示は例年「広報東京都6月号」にて行われており、また都立霊園公式サイトでも案内されています。

申し込み

募集が開始されたら、申し込みを行います。なお、申し込みは郵送またはインターネットにて受け付けています。

公開抽選

都庁にて公開抽選会が実施されます。抽選の結果は、翌日に都立霊園公式サイトにて掲載されます。

資格審査

当選した人が資格を満たしているかどうかの調査が行われます。

使用料、管理料の支払い

資格審査に通ったら、使用料と管理料を支払います。

使用許可証の発行

入金が確認され次第、使用許可証が発行されます。

都立霊園は全部で8ヵ所ありますが、毎年すべての霊園において募集が行われるわけではありません。2017年度は都立青山霊園、都立谷中霊園、都立多磨霊園、都立小平霊園、都立八王子霊園、都立八柱霊園の6ヵ所で公募が行われ、雑司ケ谷霊園および染井霊園での公募は見送られました。

公営霊園に関するよくある質問

公営霊園についてよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
管轄する自治体によって決まりは様々のため、詳細はお申し込みをされるている公営霊園を管理している該当市役所、区役所などにお問い合わせください。

Q.公営霊園の募集は常にあるのでしょうか?

管轄している自治体によりまちまちです。既に全ての区画で使用者が決まっている場合、返還区画数がある程度の数になった時に公募します。空き区画がある場合は、常に公募をしております。

Q.なぜ、申込資格を設けているのでしょうか?

公営霊園(市営霊園)は市民の為にある霊園です。
現実に遺骨の埋蔵場所等に不便を感じている地域市民の方を最優先にと考え、申込資格が設定されています。

Q.墓地の使用料が安く、場所もいい公営墓地に入りたいのですが、競争率が高いと言います。本当でしょうか?

公営墓地は、使用料・管理料が安く、宗旨宗派の制限がありません。また、立地条件もよいので人気があります。

特に都営霊園の場合は、都内に5年以上居住している、納骨していないご遺骨を持っているなど、応募資格条件が厳しく、競争率も数倍から数十倍に昇ることがあります。
一方、大阪の公営墓地は、府内の居住者でも応募でき、ご遺骨の有無も問われないなど条件がゆるく、残っている区画が階段墓所ということもあって、都内よりも広き門となっています。

Q.抽選会以降、当たった者同士で場所を交換することはできますか?

当選の権利は、他人に譲渡することはできないことになっています。そのため、交換も当選権利を譲り渡すことに変わりはないので、当選者同士の場所の交換はできません。

Q.使用料、手数料の支払い方法は現金以外(カード等)はできないのですか?

カードは一般的に使用できないようです。1度の支払い金額、支払い回数は墓地の使用金額や、管轄する自治体によってさまざまのようです。

詳しくはお申し込みをされるている公営霊園を管理している該当市役所、区役所などにお問い合わせください。

Q.一般墓域にどんな宗教の墓を建ててもいいのですか?

公営の霊園は宗教不問ですので、一般墓域にどの宗教のお墓でも建立できるのが一般的です。ただし、高さやその他の制限を設けているところもあります。

詳しくはお申し込みをされるている公営霊園を管理している該当市役所、区役所などにお問い合わせください。

Q.石材店を使わないで自前でお墓を建立することはできますか?

公営霊園は施行する石材店を指定していないため、個人による建立の申請でも認めている場合が多いようです。

ただし、図面等設計書の提出も必要ですので、建立の際には、お申し込みをされるている公営霊園を管理している該当市役所、区役所などにお問い合わせください。

Q.使用許可面積どおりの墓を建てなくてはだめですか?

許可面積を超えて建立することはできませんが、許可面積より小さい面積で建立するのは差し支えありません。ただし、小さく建立した場合でも、使用者が管理する面積は、あくまで使用許可面積になります。

詳しくはお申し込みをされるている公営霊園を管理している該当市役所、区役所などにお問い合わせください。

Q.地方にお墓を持っています。その墓石を移動してくることはできますか?

公営霊園であれば基本的は可能です。但し、大きさ・形状の制限などがある場合があります。

詳しくはお申し込みをされるている公営霊園を管理している該当市役所、区役所などにお問い合わせください。

Q.複数の親戚で祭祀を主宰していますが、連名で申し込むことはできますか?

祭祀を主宰するとは、祖先・遺骨・墓などの管理や、宗教的儀礼・儀式を行う責任者たる中心的立場にある方を言いますので、個人の遺骨に対して複数の方が祭祀を主宰するということはないという前提のため、申込資格を満たす方がお申し込みください。なお、同一遺骨で複数の方からの申し込みがあった場合は「二重申し込み」として、すべての申込書が無効となる場合がございますのでご注意ください。

Q.最終の書類審査期間に行けなくなってしまったのですが、代理や郵送でもいいですか?

建立計画等の確認があるので郵送はできないことが多いです。
申請する内容を説明できる方であり書類が揃っていれば、代理の方でも大丈夫なようです。
また、指定日時に行けない場合でも、最終審査期間内であれば変更も可能なので、早めに担当課まで電話で相談してみましょう。

詳しくはお申し込みをされるている公営霊園を管理している該当市役所、区役所などにお問い合わせください。

Q.公営霊園の個々の募集区画ごとの現況は異なっているといいますが、具体的にはどういうことなのでしょうか?

募集する空き区画の現況のちがいとは、広大な園内の敷地に募集区画が点在しているため、同じ希望面積であっても、霊園の入口・管理事務所・水汲み場などへの距離の違いや、平坦地・傾斜地などの地形状況に違いがあるということです。また、移転されてきた比較的古いお墓が建ち並ぶ墓地の中に当たることもあります。

Q.返還された区画には前のお骨がないのですか?

返還された区画を公募する際には、事前にすべての募集区画について土の入替えを行うのが一般的です。前の方のお骨が残っているということはありません。

Q.法事の施主は別の者が務めましたが、現在、遺骨は自分が守っている場合は申し込むことは可能でしょうか?

将来に渡って申込遺骨および墓を守り、管理していく立場の方であれば申し込みは可能です。
反対に、法事の施主をお務めになっていても、遺骨を別の方が守っている場合では、祭祀を主宰している方は、その遺骨をお守り(管理)している方となりますので、申し込みすることはできません。

おわりに

公営霊園は寺院墓地や民間霊園よりも費用を安く抑えられることが多く、かつ自由度も高いのが魅力です。また、最近では需要の高さから増設計画をつくっている自治体もあります。さらに樹木葬を始めている公営霊園もあり、生前予約ができる場合もあります。

自治体が運営している公営霊園ですが、時代に合わせて少しずつ変化しています。「抽選があるから」と敬遠せずに、まずはお住まいの自治体が運営している公営霊園について詳しく調べてみてはいかがでしょうか。

公営霊園とは - 特徴と費用相場、民営霊園との違い
墓地や霊園は、だれがそこを管理、運営しているかによって「公営霊園」「民営霊園」「寺院墓地」の3つの種類に分類できます。中でも公営霊園は、都道府県や市区町村など、地方公共団体が運営しているため、安心感がある、価格が安いといった意見も聞かれます。今回は、そんな公営霊園について、特徴や費用相場などを解説いたします。