お墓はいつからある?お墓の意味と歴史、最近のお墓事情

お墓とは、亡くなった方の遺骨を納め、家族や親族、生前に関わりのあった方が故人を弔うためのものです。命日やお盆、お彼岸にお墓参りをする方も多いと思います。

私たちの生活の一部となっているお墓、そもそもお墓がなぜ建てられるようになったのか、いつからこの慣習が生まれたのか、この記事ではそんなお墓の歴史や慣習から、最近のお墓事情までご紹介します。

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お墓の持つ意味

現代では、亡くなった方の遺骨を納め、故人を弔うためにお墓を建てます。そして、故人の供養のために遺族や生前に関わりのあった方がお墓参りをします。

このように私たちの生活に深く関わりのあるお墓ですが、そもそもお墓を建てることにはどのような意味があるのでしょうか?

お墓を建てる理由は大きく分けて3つあります。

1つ目は故人が忘れ去られないようにするためです。

故人のお墓を建てることで、お盆や命日などにお墓参りをする習慣ができ、故人を定期的に思い出すことができます。日本には故人の存在を忘れないためにお墓を建てて祀る風習があります。

2つ目は遺族の想いを形にするためです。

遺族が故人のためにお墓を建て、法要をすることで、遺族にとって大切な人が亡くなったという現実を受け入れる手助けをします。故人のために何ができるかを考えたときに、一番に思い浮かぶのがお墓を建てることなのかもしれません。

3つ目はご先祖様を祀るためです。

今の私たちが生きていられるのは、ご先祖様の存在があったからです。そのため、ご先祖様への感謝を忘れてはいけないと言われます。しかし、常日頃からご先祖様への感謝を持つことは容易なことではありません。そこで、ご先祖様を祀るためのお墓を建て、お盆などを利用してご先祖様に感謝の気持ちを伝えます。

お墓を建てるようになった理由

人が亡くなるとお墓を建てるか、先祖代々の墓に遺骨を納めるのが一般的です。

日本では火葬が主流ですが、故人の弔い方にはさまざまな方法があります。

例えば、鳥に亡骸を食べさせることで魂を昇華させる鳥葬や、洞窟などに亡骸を放置して風化させる風葬など、地域によって弔い方は違います。現代では人工衛星に乗せて宇宙空間に埋葬する宇宙葬という新しい選択肢も出てきています。

お墓を建てるという行為自体は死者への弔いの意味合いが強いのですが、その形態は地域の気候風土や故人との関わり方など民族的な慣習に合わせて変化します。

では、なぜ日本では石のお墓を建てる慣習が生まれたのでしょうか。これには諸説あります。石は丈夫で、長い年月を経ても変化しにくいといった特徴があるというだけでなく、万物に神様が宿っているという「八百万の神」の思想がもとになっているという説もあります。この説では、石に特別な霊力が宿るとされています。そのため、故人が眠る場所に石のお墓を建てるようになったと言われています。

お墓の歴史

古いお墓と聞くと古墳やピラミッドを思い浮かべる方もいるかもしれません。こうしたお墓は地位の高い人や権力者のものですが、代表的なお墓の形態のひとつです。

日本のお墓の歴史は古く、縄文時代にはすでに埋葬の文化があったことが確認されています。しかし、当時はまだ埋葬した故人の上にお墓を建てる文化はありませんでした。

古墳時代には、権力者のお墓である古墳が建てられました。仁徳天皇が祀られている大阪の前方後円墳が有名です。そして、江戸時代中期になると、ようやく碑石を用いたお墓が登場しました。しかし、当時のお墓はあまりにも高価であったため、やはり一部の権力者や富裕層の遺族などが建てるものでした。

現在に至るお墓の歴史は江戸時代の檀家制度に端を発します。檀家制度は元々キリスト教の弾圧を進めるために作られた制度です。その過程でお寺と庶民の間に強い結びつきが生まれ、お墓を建てる習慣が根付きました。以前は1人ずつ埋葬される個人墓が主流でしたが、土地不足などの理由のため、明治時代以降、土葬から火葬に変わり、また現在の家墓の伝統が生まれたのです。

現在のように誰でも気兼ねなくお墓を立てられるようになったのは、昭和30年代の高度経済成長期以降です。特に都市部では、地方から移ってきた方が、故郷のお墓とは別にお墓を建てるようになりましたマイホームを購入したら、次はお墓を建てるという流れで、生前にお墓を建てる寿陵が増えたのもこの時期といわれています。こうして各地で霊園や墓地が整備され、故人やご先祖様のためにお墓を建てることが慣習化しました。

お墓参りの意味、時期・頻度と方法

お墓参りは、ご先祖様や故人を供養するために行います。

お墓参りの方法の正解は一つではありませんが、一般的に掃除に必要な雑巾やバケツなどを持ってお墓に赴き、お墓の掃除をします。そして、墓石に打ち水をして清めてから花立にお花、水鉢にお水を入れ、お供え物を墓前に置きます。お線香をあげてから、お墓に手を合わせてお参りします。帰る際にお供え物は持ち帰りましょう。時期には決まりがありませんが、お彼岸お盆、命日などに行うのが一般的です。

最近のお墓事情

近年、お墓の形態の多様化や墓石のデザイン性の向上など、お墓事情が大きく変化してきています。特に家のしきたりではなく、お墓を購入する本人や遺族の考え方に合ったお墓が選ばれる傾向が強くなっています。

例えば、通常のお墓ではなく、費用を抑えるためにマンションタイプのお墓を選ぶ遺族もいます。故人がお酒が好きな方であれば酒瓶を模した墓石を選んだり、ツーリングが好きだった方であればバイクを模した墓石を選ぶ遺族もいます。

このように遺族の考え方や予算事情に合わせたお墓が増えてきています。しかし、どのような形態でも、ご先祖様を敬う気持ちや故人を偲ぶ気持ちは今も昔も変わらないようです。

お墓の無縁化、承継者がいないお墓の増加

最近は承継者がいないお墓が増加しています。

承継者がいなくてもお墓がなくなることはありませんが、管理されていない無縁墓景観の面や維持費用の面からも問題視されています。また、お墓の管理料が一定程度滞納された場合は、お墓の永代使用権が消滅してしまう可能性もあります。

このような事態を避けるため、あらかじめお墓の中の遺骨を永代供養墓など承継者がいない場合でも墓地の管理者が遺族に代わって供養してくれる施設などに移し、お墓を撤去・解体する「墓じまい」などを選択する方もいます。

墓地・霊園の種類

墓地・霊園:公営、寺院、民営

墓地には地方自治体が運営している公営霊園や、主に檀家が寺院の敷地内にお墓を建てる寺院墓地、宗教法人などから委託を受けた民間企業が管理している民営霊園があります。墓地の形態によって費用や規則が違うため、メリットやデメリットを比較検討した上で選ぶようにしましょう。

お墓:家墓、永代供養墓、新しいタイプ(個人墓夫婦墓両家墓、納骨堂)

「家墓」は家単位で先祖代々引き継がれる形態のお墓で、広く建てられています。

近年は葬祭に関する考え方が変わってきており、夫婦だけが埋葬される夫婦墓や一代限りの個人墓。また永代供養墓納骨堂樹木葬といった新しいタイプのお墓が注目されています。

お墓と墓地の関係:墓地は借り物

お墓を建てるためには墓地が必要です。お墓を買う場合、墓石は購入することができますが、墓地は借地扱いになります。よく耳にする「永代使用料」というのは墓地の上にお墓を建てる権利のことです。

新しくお墓を建立する流れと費用相場

新しくお墓を建てるときは、まず墓所を購入します。そして、石材店で墓石やお墓の形状を選んで完成予想図と見積もりを元にお墓のイメージを固めます。その後、工事を注文し、最終確認を経て設計図を元に建立作業に入ります。また、工事には3週間程度かかります。

お墓の費用は石材の種類などによって幅がありますが、100万円から高いものでは200万円以上かかります。

お墓の維持管理、管理費用

納骨時期については、通常、四十九日が過ぎてからお墓に遺骨を納め、供養します。

また、お墓の維持管理料は年間4,000円〜14,000円が相場とされています。また、お寺の墓地を利用している場合は行事の参加費などが加算されることもあります。お墓の管理は墓地管理者によって行われます。

お墓の相続・承継

お墓の承継とは、お墓の名義人(使用権を持つ人)が亡くなった際に、お墓を継ぐことです。これまでは長男が継ぐことが一般的でしたが、現在は少子化の影響などで親族の承継者を確保することが難しくなっています。

民法による定め、相続税、承継ルール、名義変更方法手数料など

お墓の継承について、民法897条によると、通常は慣習に従うものの、被相続人の指定があれば親族以外でもお墓を承継することができます。口頭や簡単な書面でも指定できますが、遺言状を正式に作成しておくことで無用のトラブルを避けることができます。遺言書は公証人役場や弁護士事務所などに問い合わせるとよいでしょう。

お墓を承継するときは、承継者が墓地管理者に「墓地使用者の名義変更届け」を提出します。また、提出する際には墓地管理者が定める名義変更料を支払います。

承継者が不明である場合は、家庭裁判所が承継者を指定します。

お墓の引越し、改葬の流れと費用相場

引越しや承継などの理由で、お墓を移動・移転させることを改葬と言います。

改葬を行う場合は、改葬先の霊園を探して受け入れ証明書の発行を受けた後、元々のお墓から埋葬証明書を発行してもらいます。その後、自治体に改葬許可証を発行してもらい、現在のお墓の管理者に提出します。埋葬されている霊園での閉眼法要、改葬先の霊園で開眼法要を行います。お墓を処分し、新しく建てる場合の改装費用は300万程度かかると言われています。

まとめ

お墓が広まったきっかけはキリスト教の弾圧でしたが、そのおかげでご先祖様を祀る習慣が生まれました。お墓を建てることで故人やご先祖様を偲ぶ気持ちは今も昔も変わりませんが、時代の流れに合わせてお墓の形態は変化してきました。

特に近年は、遺族の思いに寄り添ったお墓や弔い方を選択できるようになりました。だからこそ、故人やご先祖様への想いや「こういうお墓を建ててあげたい」という気持ちを大切にしたいものです。

また、核家族の増加や承継者の不足もあり、改葬などを望む方が増加しています。

お墓の改葬や承継者がいないお墓について相談したい方や、新しくお墓を建立する予定の方など、ご要望に合わせてさまざまな提案をさせていただきますので、お墓についてお悩みがある方やお墓をお求めの方は、お気軽にご相談ください。

お墓の由来 - 霊園・墓地・墓所の違いと言葉の成り立ちから現代のお墓事情まで
納骨堂とは、遺骨を納めるところです。以前は納骨堂というと、お寺の一角にある一時的に遺骨を安置するお堂を指しました。しかし現在ではお墓の一形態としての利用が多く、購入する人もたくさんいます。宗教不問、また永代供養をしてくれるところも多数あります。納骨堂を購入した方の声から、納骨堂についてご説明します。