墓石の産地、石材の種類 – 国産と外国産の違い

墓石に使われる石材が採掘されるところが墓石の産地となり、国産の石材のほか、中国やインドなど海外から輸入するものもあります。墓石にはその産地や石の種類によって、さまざまな特徴があります。

ここでは墓石の主な産地や特徴、石の種類や選び方について説明していきます。

墓石
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墓石の主な産地

最近では日本に流通している暮石の多くが、海外から輸入されてきたものです。

海外の主な産地としては中国が最も多く、そのほかはインド、韓国、スウェーデンなどの北欧ブラジルなどの南米や、南アフリカなどがあります

採掘~加工~お墓になるまで

では実際に石材を切り出してから、どのような工程を経てお墓になるのか、その流れを説明していきます。

石材を採石

まずは各地の採石場の岩盤から、石材を切り出します。

このとき火薬で発破を行い切り出すので、石質の状態や火薬の量、発破する位置などを適切に見極める必要があります。職人の経験と知識がとても重要な作業です。

石材を切断

切り出された石材は、荷崩れや傷がつかないよう細心の注意を払いながら、石材加工場へと搬出されます。

石材加工場に運ばれた原石を、それぞれの寸法に合わせて裁断して原形をつくっていきます。設計図に応じて専用のカッターで切断・加工しますが、このとき同時に石材に傷や模様のムラがないか、細かくチェックされます。

表面を研磨

原形がつくられた石材を、各図面に従い、さらに細かく切断、研磨していきます。この作業は暮石の耐久性に関わる重要な作業なので、磨きムラがないように何度も細かい研磨を繰り返して仕上げます。

デザイン加工

磨き上げられた石材に、職人の手で細かい加工や研磨が施され、オリジナルの墓石に仕上げていきます。

ここでは文字や家紋の彫刻も行われますが、その作業はとても緻密なもので、職人の技術がそのまま反映されます。最近では、細かい砂を高圧で吹きかけることで彫り出しができる「サンドブラスト工法」を取り入れていることが多く、この彫刻方法が表現の幅を大きく広げています。

基礎工事・据付工事

墓石の重さは1tを超えることが珍しくないので、その重さを支える地盤の基礎工事はとても大切です。

地盤がしっかりとできあがったら、いよいよ暮石の据付工事です。業者によっては、耐震を考慮して工事を行ってくれる場合もあるようなので、お墓を建てる際に相談してみるのもよいかもしれません

墓石材の選び方

実際に墓石を選ぶことになったとき、どういったことに気をつけて選ぶべきか、また価格の幅はどこからうまれるのか気になるのではないでしょうか。

ここから墓石の情報の見方、墓石材の価格の違いを説明します。

スペックの見方

墓石材を比べるときに確認して欲しいのが、数値のデータ、色、産出国です。色は品質や値段への影響がほとんどないので、墓地管理者などからの特別な指示がない限り、お好みのものを選んで問題ありません。

産出国は墓石材の値段にかなり大きく関わるので、予算などに合わせて検討することをおすすめします。

数値データは3項目あるので、分けて説明していきます。

吸水率

吸水率は石材を水に浸したとき、石材が吸い込む水の割合で、墓石材であれば吸水率が0.2%以下が望ましいとされています。

石の構造はスポンジのようになっており、例えば雨が降るとその水分を吸収します。冬の寒い時期や寒冷地の場合、吸収された水分は凍結して膨張するため、墓石を内側から圧迫してひび割れの原因になってしまいます。

吸収した水分の量が多いほど内側からの圧力が強まるので、吸水率はできるだけ低いほうが、ひび割れなどの問題が起こりにくいです。

圧縮強度

圧縮強度は石材の堅さを示しており、一定の強い力を加え続けたとき、どこまで耐えられるかで数値が決まります。

当然圧縮強度は高いほうがよく、墓石であれば110~120N/㎜が標準値とされています。お墓は長く受け継がれていくものなので、できるだけ丈夫なものを選ぶことが大切です。

圧縮強度は高いほど衝撃に強いので、できるだけ標準値前後の数値のものか、それ以上のものを選ぶことをおすすめします。

見かけ比重

見かけ比重は石材1mあたりの重さのことで、墓石であれば2.60~2.70t/mが標準値とされており、2.90t/mを超えるととても高いと判断できます。一般的により黒っぽい石が重い傾向にあるようです。

石は鉱物などが細かく固まってできているため、その密度が高いほど含まれている鉱物も多く、石自体の強度も高くなります。

墓石材に使われる石はもともと丈夫ではありますが、数値が2.50t/mより低い場合は、どのような石なのかよく確認したほうがよいかもしれません

安い石材は品質が悪いってホント?

高い石材のほうが、質が良く安いと質が悪いのかというと、実は必ずしもそうだというわけではありません。価格の幅は採掘や加工コスト、人件費などが大きく関係していて、実際の質の良し悪しと比例しない場合も多くあります。

実際に、中国から輸入されている墓石材は国産のものより低価格ですが、それは労働力のコストが低いという理由が大きく、材質はほとんどの場合国産のものと遜色ありません。

そのため墓石材を選ぶ際は価格だけにとらわれず、その石材のスペックをよく確認して検討してみてください。

墓石材の代表的な種類

石材

墓石に使用される石の種類はとても多く、300種類以上あります。その中でも磨くと光沢が出るタイプの素材で、墓石として最も人気が高いのが「花崗石」という種類で、通称「御影石(みかげいし)」ともよばれています。

国産だと茨城県の「真壁石」、神奈川県の「小松石」、香川県の「庵治石(あじいし)」、愛媛県の「大島石」などが有名です。

特に香川県の「庵治石」は墓石のダイヤモンドともよばれ、最高級の御影石として海外でも人気があります。

石材そのものの種類に加えて、石目の大きさや色によってさらに細かく分類されています。

色は大きく分けて黒系、グレー系、白系、カラー系の4種類です。日本では北で黒系の石材が、南で白系の石材が多く採石される傾向にあり、グリーンやブルー、レッドなどのカラー系は海外からの輸入品が多いようです。

墓石材の色は品質や価格への影響はほとんどありません。

日本の墓石とその特徴

最近では日本に流通している墓石材の多くが輸入品で、その材質も国産と遜色ないとはいえ、墓石の実績としてはやはり国産には及びません。

国産の墓石は希少なので価格も上がりますが、日本の土で育ったものなので、日本の気候に長く適応することも証明されています。

安定の高品質

国産墓石材の一番の特徴は、安定した品質の良さと高い加工技術です。どの墓石においても、数十年から数百年にわたって使い続けられているものばかりで、石材の質の良さが大きく影響しているといえます。

また日本の気候に馴染みやすいということも、選ばれるポイントです。

幅広い石種

日本では北は北海道から、南は沖縄まで各地で墓石材の採掘が可能です。またその種類も豊富で、やわらかい砂岩から超硬質の花崗石まで幅広くあります。

あえていうと、東洋風の石碑に向くやさしくやわらかい風合いの石が多い傾向にあるようです。

日本の墓石 – 国産墓石材の種類と特徴
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海外の墓石とその特徴

これまでも説明してきたように、現在日本で取り扱っている墓石材は、国産のほかさまざまな国から輸入されたものです。

それぞれ主な輸入先とその国の墓石材の特徴を紹介します。

中国産

中国は御影石の産出が世界一位の国で、安価で良質な墓石材が多くあるため、近年日本で取り扱われている低価格帯の墓石材は、ほとんどが中国産です。日本産のものとよく似た石材も多く、個性的な色のものがそろっていることが特徴です。

ただ歴史が浅く、材質の良し悪しの幅が広いことも特徴で、きちんとしたものは日本産とほとんどかわりませんが、選ぶ際には注意が必要です。

代表石

新山崎・白御影石各種・グレー系御影石各種など

中国の墓石 – 中国産墓石材の種類と特徴
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インド産

インドからは中国よりも以前から墓石材を輸入していました。特に高品質な黒御影石の種類が豊富、最近は独特な石目が特徴のグリーン系御影石も人気があります。中国に次ぐほどのラインナップがあり、赤系、青系、白系の墓石材も高い評価を得ています。

今後の注目石材は大理石に似たマルチカラー系の石材で、強くて美しいことに加え複雑な模様をもつため、経年変化などが目立たないことがポイントです。

代表石

クンナム黒御影石・ルビーレッド・インドグリーンなど

インドの墓石 – インド産墓石材の種類と特徴
インドの石材は硬く色艶がよいのが特徴ですが、安定性に欠けるため、量的にはインドからの輸入は減少傾向にあります。インド産石材は中国産石材と異なり、使用される石種がある程度限定されているのが特徴です。

韓国産

韓国産の墓石材はその歴史が相当古く、中国以前の産地ともいえます。特に白御影石の品質はとても高い評価を得ており、代表石種である「栄州石」は今でもかなりの人気があります。

今でこそ中国に押されていますが、安心できる石材ばかりなので、今後の価格の変動によっては再び注目されることもあり得るでしょう。

代表石

栄州・居昌・陰城など

南アフリカ産

以前は一級黒御影石であるスーパーブラックが有名でしたが、現在は美しい石目と、結晶質で透明感のある見た目が特徴的な石材が注目されています。

また高級内装材としても使用される石材なので、墓石としては少々派手に見える傾向があるようです。

代表石

ラステンバーグ・ブルーシルクなど

北欧産

北欧ではスウェーデンやフィンランド、ノルウェーなどから輸入されており、どれも優れた石材を産出することで知られています。

特徴ある原石が多く、特にスウェーデンの代表石である「ファイングレー」は世界最高級の黒御影石ともいわれています。

代表石

ファイングレー・フィンランドグリーン・ブルーパープルなど

南米産

南米はブラジルやウルグアイなどから輸入されています。未知の原石も多いようで、墓石材としてはピンクやイエローなどカラーバリエーションが豊富です。

特にウルグアイの「バイオレットブルー」は高い評価を得ています。

代表石

バイオレットブルー・ジャロサンタセシリアなど

まとめ

お墓は代々受け継がれ長く使用されるものなので、墓石選びには悩むことも多いと思います。

色や形など見た目の好みも大切ですが、墓石の産地や数値のデータが価格とあっているかなども重要なポイントです。

良い墓石を選びたければ、信頼できる石材店を見つけて、疑問に思うことはその都度相談しながら進めることをおすすめします。

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