宿稲荷神社神道霊園の現地レポート

・周辺環境
バス停を降りて少し歩くと伊香保街道の柏木宿。この辺りは寛永年間（江戸初期）に造られ、高崎から伊香保への一番の近道として湯治客や水沢の札所への参拝客でごった返したといわれています。今でも昔を偲ばせる家並が続き、字輪寺や萬松寺、黒髪神社や椿名神社跡など多くの寺社に囲まれている一帯です。

その字輪寺脇の庚申塚に導かれ、左に曲がり再び歩き始めると、一面を畑にかこまれた地域に宿稲荷神社があります。ここは西北は榛名の山に抱かれ、東南に前橋高崎の街を一望できる位置にあります。昼間は群馬県のランドマークである県庁を眺め、夜は夜景ポイント、また群馬県域の花火大会を上から横から眺めることができる隠れたスポットとして人気のあるところです。宿稲荷神社神道霊園は名前の通り、この神社に併設された霊園です。

・園内
宿稲荷神社は在原業平、もしくは戦国時代にこの周辺を支配していた箕輪城主の長野氏ゆかりの神社といわれており、小さいながらも、由緒正しいお宮さんです。社殿の建立は文久から元治の幕末辺りとされ、村の文化財にも指定されている程です。

霊園全体は小さく、整地された区画は約20メートル四方。山の傾斜に合わせた緩やかな勾配がありますが、苦になる程ではありません。この中に80基程のお墓が入る予定ですが、今の段階で最上部を中心に10基程建立されています。また、その下の段にも未整備の場所がありますが、ここも将来的に開発されるのではないでしょうか。辺りは一面畑に囲まれているため、時折聞こえるのはトラクターの運転音と、それに合わせて鳴く雉の声だけという、静謐さを感じる霊園です。

神社と霊園を隔てているコンクリートの塀があります。その高さといい、色といい、無理矢理、空間を仕切っているように感じられ不自然さを感じました。神社と霊園が共存しているように見せる配慮が必要ではないでしょうか。また、神社の裏手に手洗いがあるのですが、平日午後に伺った際にはシャッターが閉まっており、使用することができなかったのが残念なところです。

・立ち寄りたい周辺スポット
伊香保温泉……群馬県だけでなく日本中に知られた、万葉集にもその名が登場する名湯。
水沢観音……坂東三十三箇所第十六番札所。日本三大うどんの一つ水沢うどんもあります。