樹木葬は親のお墓ではなく、「自分用」ならOK?

平成26年度の東京都立霊園受付状況が8月に発表されました。
まず気になったのは、昨年度から募集が開始された小平霊園の樹林型墓地(合葬埋蔵施設)、そして今年から募集が始まった樹木型墓地(合葬埋蔵施設)。樹木の元に遺骨を埋蔵する、いわゆる〝樹木葬〟です。
 
今年度はこの2つのエリアの受付数を合わせると1万7449件。全受付総数3万2347件の半数以上を占めています。
 
ただし新しい区画、樹木型墓地の方は倍率1.3とそれ程の数字とならなったよう。2つのエリアの違いは、「樹林型」の方は遺骨が一つのカロート(地下の埋蔵される施設)に他の遺骨と一緒に納められるのに対し、「樹木型」の方は個別に埋蔵されるという点。
 
この埋蔵方法の違いからか使用料の方も、同じ「遺骨申込区分」(すでに火葬された遺骨があること)の遺骨1体分が樹林型で13万1千円に対し、樹木型は18万4千円と5万円ちょっと高くなっていることも影響しているのでしょうか。
 
もう一つ、2つのエリアで倍率に大きく差が出た理由として考えられるのは、樹木型は遺骨申込区分のみで、生前申込の受付をしていないことです。
 
「生前申込」は文字通り、生前にあらかじめ墓地の申込みができるというシステム。樹林型墓地で、この生前申込区分の倍率は1体用が19.5、2体用が19.6と高い数字になっています。
小平霊園にある合葬墓地(埋蔵施設)も同じように、遺骨申込区分1体用の倍率が4.2だったのに対し、生前申込区分は1体用28.6倍と差が出ています。
 
「遺骨申込区分」に申し込むことができるのは、その遺骨(故人)の葬儀の喪主であった人、遺骨を守っていく立場の人。つまり亡くなった人には、子どもなど縁者がいるケースになります。
 
一方、申込者と埋蔵予定者は本人と夫婦、親子、兄弟姉妹の関係であることが条件になっている「生前申込」の方は、自分や兄弟に子どもがいない、あるいは「子どもがいるけど、後のことは迷惑をかけたくない」といった応募理由が考えられます。
 
親の遺骨をお墓に納められずに、自宅などに置いている人は相当数に上ると見られているものの、その他の条件が同じであれば、遺骨申込みより生前申込みの方が圧倒的に人気。
 
この結果が示すことは、継承者を必要としないお墓は、自分用あるいは夫婦用では良くても、親のお墓として考えたときにはNGと考える人が多いということになるでしょうか。
 
そんなことが垣間見られる、ちょっと気になる数字でした。



平成26年度 都立霊園公募受付状況(いずれも小平霊園)より抜粋
 
 

     種別     募集数 受付数 倍率 
 
樹林型合葬埋蔵施設
 
 
 
 
 
 
遺骨申込区分
 
 
 
遺骨1体
遺骨2体
 
 
32
18
 
 
119
66
 
 
3.7                     
3.7
 
生前申込区分
 
遺骨1体
遺骨2体
88
342
1712
6718
19.5
19.6
 樹木型合葬埋蔵施設
 
 
遺骨申込区分
※生前申込区分はなし
 
遺骨1体
遺骨2体
 
212
88
 
366
154
 
1.7
1.8
 
 合葬埋蔵施設
 
 
 
 
 
遺骨申込区分
 
 
直接共同埋蔵1体
直接共同埋蔵2体
 
26
14
 
110
56
 
4.2
4.0
 
生前申込区分
 
 
直接共同埋蔵1体
直接共同埋蔵2体
直接共同埋蔵3体
13
48
39
372
1320
1089
28.6
27.5
27.9
 

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。