お墓参り・掃除行ってますか?―代行業者に聞く最近の事情

祖先の霊がこの世に戻ってくる-。もうすぐそんなお盆の時期(新暦)がやってきます。
「忙しくてなかななお墓参りに行くことができず、気になる」という時に、自分の代わりに出向いてくれるのが、お墓参り代行・お墓掃除代行サービスです。
 
請け負っているのは、個人から業者までさまざま。その中の一つ、関東グレイブキーパー(東京都狛江市)の広瀬代表にお話しを聞きました。
 
お目にかかったのは、都立多磨霊園。依頼があったというお墓の前にはブルーシートがひかれ、その上に植木ばさみや掃除道具が置かれていました。
 
「掃除と言っても、お墓なのでやることはいろいろあります」と広瀬さん。この墓所にも小さな木が植えられています。それらの刈り込み、雑草取り。玉砂利をひいたり、除草剤の散布なども頼まれれば、オプション料金で受けているそうです。
 
この日は気持ちのいい晴れ渡る空がひろがっていました。
「一現場で2,3時間かかるのが普通です。こんな良い天候のもとで作業ができることはまれ。寒い日もあれば暑い日もあって楽な商売ではありませんよ」。
以前、この霊園近くを通った時には、所々のお墓でススキが伸び放題になっているのを目撃しました。何年も人が来ていないところでは、最初の掃除が本当に大変だといいます。
 
広瀬さんがこの仕事を始めて約10年。以前はまったく畑違いの仕事をしていたそうです。ある日、ご自分が先祖代々のお墓参りに行けないため代行業者を探したところ、その時の見積り金額が予算オーバーの高い金額だったことが、この事業を始めるきっかけだったといいいます。
 
「自分のように困っている人はいるはず。もっと利用しやすい金額でサービスを提供できれば」という思いがスタートでした。このため、関東グレイブキーパーでは基本コースとなる「簡易墓地清掃サービス」5千円、本格的に墓石の水垢を落とす「標準墓地清掃サービス」が8千円(共に税別)という価格が設定されているといいます。
 
掃除作業は、現場近くの会員に依頼するシステムで、清掃業や造園経験者などの登録者がいるそうです。
 
ところで、どんな人がこのサービスを利用しているのでしょうか。
この日の依頼者は海外に住む男性だとか。最近は転勤や移住で海外、または日本に居ても、お墓とは遠く離れた場所に住む方からの依頼も増えているそうです。
お彼岸やお盆前、故人の命日など、掃除の期間を指定してくる申込みは3割あるといいます。
 
そして、依頼者の半数以上は墓守世代の高齢者だとか。
「楽をしたいということではなく、自分がやるのはもう無理という方が多いと思います」。お墓へ定期的に訪れて、きれいに保つことが難しくなり申し込むケースになるそうです。
 
最近は、「私は他家へ嫁ぎましたが、実家のお墓の掃除をお願いします」といった事例も少しずつ目立つようになってきたといいいます。
 
今回お話しを聞いて、お墓参り代行・お掃除代行を頼む人の大部分が手抜きをするというより、そこに行けない事情や、年齢的・体力的問題があることがわかりました。それと同時に、お墓を守る次の代の不確定要素が垣間見られることが、ちょっと気になりました。

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。