「死んだらハーレー・ダビッドソンと一緒に埋めてくれ」?!

「俺が死んだら俺のハーレー・ダビッドソンと一緒に埋めてくれ」と遺言し、その通り故人が埋葬されたという記事を目にしました。
(DNA ディリィ・ニュウス・エイジェンシィ『世界のびっくりニュース』2014/02/03)

日本ではなく、アメリカ・オハイオ州のお話し。
生前バイクに乗り続けた男性が、愛車とともに墓に入りたいと考えたのは約18年前。中が透けて見えるアクリルガラスで〈棺〉をつくり、自宅を訪れた人に自慢していたとか。

全長2㍍以上あるバイクのため、墓地の3区画分を購入。実際の埋葬の様子を見ると、穴はかなり深く掘られています。そして例の透明な〈棺〉の中に収まったハーレー・ダビッドソン。革のバイクスーツとヘルメットを着用した男性(故人)がそこにまたがっていました。

さすが個人主義の国、アメリカ。こうした趣向ある葬法も受け入れる土壌があるようです。
同じことが日本でも起きるかというと、しばらくは無さそうに思います。

日本では、火葬の時に故人の愛用品を遺体と一緒に燃やすことはあっても、お墓に埋めることはあまり耳にしません。
また、「子どもに死後のことで迷惑をかけたくない」と考えがちな高齢者がまだまだ多いことを考えると、これほど大型のものを「一緒に埋めて」と希望する事例は出てきそうにないからです。

ところで、最近、火葬率を上げているものの、米と同じく土葬が主体の中国では、日本で言うお盆やお墓参りの時に、紙でできた供養のための〈お札〉=紙銭を燃やすことで知られています。あの世の生活で困らないように、亡くなった人に捧げるのです。

故人に送られるのは紙銭だけではなく、豪邸のミニチュア、家具・家電、車、携帯、パスポート、クレジットカード、iPadなどなど。「快適に不自由なく暮らしてもらうため」のあらゆる品々が用意されます。
こうした先祖に送る紙製品は葬儀でも使われます。また、華人・華僑(海外で暮らす中国系に人々)の社会を含め、土葬の際、棺に紙銭を入れるところもあります。

「儒教の国だけに、祖先を敬う気持ちが強いのだろう」との印象ですが、そこには「自分たち子孫を守って欲しい」という思いがあります。「そっち=あの世での生活を困らないように手厚く供養するから、こっちには幸運をもたらしてね」ということになるでしょうか。

それがどれほどの大きさでも、好きなモノを死後も一緒に埋めてもらうことと、現世利益の願いを込めて、故人の棺に紙銭を入れること。
文化や考えの違いからくることなので、どちらがどうとも言えませんが、少なくともバイクより紙の方が自然に還りやすいという意味ではエコと言えそうです。


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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。