古墳シンガー・まりこふんに聞く~古墳愛は、地元愛?

最近、古墳関係のイベントが増えているとか。2013年11月に行われた「comecomeはにコット」は今城塚古墳(大阪府高槻市)が舞台となった、アートと古代の複合イベント。10月、東京都府中市で行われた熊野神社古墳祭りは、「古墳をバックにワインと音楽を楽しむ」がコンセプトと、史跡としての古墳研究の枠にとらわれない楽しみ方も提供されています。また、地元物産展のコーナーを設けるイベントもみられるなど、古墳が地域興しの場となっているようです。

そんなイベントに引っぱりだことなっている、古墳シンガーのまりこふんさんにお話しを聞いてきました。

耳には前方後円墳の形の古墳ピアス、そして今、人気という古墳クッションを持参してきてくれた、まりこふんさん。古墳に目覚めたのは6年前、仁徳天皇陵(大阪府堺市)を訪ねた時、ここが世界三大陵墓の一つと知った時からだとか。

三大陵墓である後の2つは、クフ王のピラミッドと中国の始皇帝陵。そちらは有名でたくさん人が訪れているのに比べ、仁徳天皇陵の方は、その地位に相応しい扱いを受けていないこと、日本人でもその価値に気づいていない人が多いことを痛感したそうです。

その後訪ねた古墳は200箇所以上に及び、魅力にはまった、まりこふんさん。古墳にもっと関心をもってもらうため、古墳をテーマにした唄をつくったり、古墳巡りの様子をSNSで発信するようになったそうです。

そんなまりこふんさんの願いは、大小問わず、現存する古墳を残すこと。

「これまで、『ここに高速道路ができるから』『小学校が建つから』って潰されたり削られた古墳もたくさんあります。でも、わざわざ古墳を避けて道を反らせているところもあるんです。そういうところを見るともうキュン!ときちゃいます。そうやって100年前の人も500年前の人も千年まえの人も残そうとしたから、現在があるんですよね、古墳って。その地域を治めてきた人のお墓だから、皆が頑張って造って守ってきて。それが今も残っているって最高だと思うんです」。

人々の想いで1500年間存続してきた古墳を、さらに後世につなげていきたいという、まりこふんさんですが、一方で今、そのことに危機感を持っているともいいます。

「『古墳を守る』って実は、自分の家族のお墓を守ることとつながっていると思うんです。古代人や昔の人は、その村自体が家族というか、結びつきが強かったと思います。そこで古墳を守っていたのは、現代で言えば自分の家の墓を大切にするという感覚と同じではないかと。今、人間関係が薄れてきているから、墓を守る人がいないとか無縁墓が増えているのかなと思うんです。昔の人はそうではなくて、代々のお墓に行けば故人に会えると思って掃除をして、ずっと守っていくと考えていた。家族の絆もそこで生まれていたんじゃないかと思うんです。だけど、その価値観が衰退してきているので、地元の古墳を守るという意識も持てなくなっているのではと感じています」。

昨今、顕著な地域の人間関係や家族関係の希薄化、核家族化というのは、古墳の存続にも影響しているという指摘にちょっとドキッとさせられました。

また、まりこふんさんが見聞きしてきた中では、みんなで古墳を守ろうとしているところは、地域の人たちの結束も固いのだとか。
「『自分たちの古墳』みたいな感覚を持つことで〝地元愛〟が芽生えてくるんじゃないでしょうか。」

身近な古墳を見直すことは、地元と、その人間関係を見直すことにつながるでしょうか。

古墳は大小含め、全国に約16万基が点在しているとか。「小学校の遠足は地元の古墳だった」という人は意外に多いもの。昔々、あなたが住むその地域を治めていた人のお墓を、もう一度訪ねてみませんか?

【まりこふん】
古墳への想いを熱く唄う、古墳シンガ-。2013年1月、古墳をカジュアルに楽しむ方法を広めるため「古墳にコーフン協会」を立ち上げる(協会会長)。古墳ニュースや情報をサイトで取り上げる他、古墳情報番組『古墳にコーフン協会USTREM』を発信。
古墳関連のイベント、お祭り、トークショーに招かれること多数。2014年CD『古墳deコーフン』発売予定。

古墳にコーフン協会 http://kofun.jp/

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。