4万円台の樹木葬から青山霊園の1600万円の区画まで ― 都立霊園のお墓事情

平成25年度の東京都立霊園公募受付状況や各倍率が、8月19日に発表されました。

今年度から募集が開始された八柱霊園(やはしられいえん・千葉県松戸市)の合葬埋蔵施設は、募集数1800に対し受付数は2651、倍率は1.5倍という結果でした。

今年に入って完成したこの合葬埋蔵施設は、地下1Fが骨壺の収蔵箇所、地下2Fが遺骨の埋蔵箇所で、地上は古墳状に土が盛 られ芝で覆われています。これまで都立小平霊園や多磨霊園にも造られてきた、多くの人が共同で埋蔵されるお墓です。その収蔵・埋蔵可能数は、なんと遺骨 10万体分。仮に今年の募集数1800で割ると、今後約55年間の募集ができることになります。

なぜ、このような大型の合葬墓地がつくられたのかというと、東京という土地柄が大きく関係しています。

東京都が行った調査では、都民の約4割が「自分や家族が利用できる墓を持っていない」と答えています(平成17年度イン ターネット都政モニターアンケート)。また、同じ調査で「お墓を造る上で何が問題だと思うか」の問いに対し、一番多かった回答は「お墓の価格の高騰」でし た。地方出身者が多く、地価も高い東京ならではの事情に対応したお墓なのです。

また、公営では珍しい〈樹木葬〉ということで、募集開始の昨年はTVや雑誌でも取り上げられることの多かった都立小平霊園 の樹林墓地の倍率はというと9.9倍。昨年度の倍率16.3倍からみると、やや人気が落ち着いたのかと思いきや、その応募数は1万5833。これは、今回 の都立霊園の総応募数2万6899の約6割に相当します。

コブシ、ヤマボウシ、イロハモミジなどの元に共同埋蔵される樹林墓地の特徴は、「樹木を墓標とする」「直接土に還る」ということばかりでなく、お墓の継承者を必要としないことです。

一般的なお墓では代々の継承ができないときにはその場所を返還しなければいけませんが、樹林墓地は、最初に使用料を払うとその後の管理料などがかかりません。どうやって継いでいくのかという心配がいらないタイプのお墓なのです。
このため「子どもがいない」「子どもに迷惑をかけたくない」ことを応募の理由とする人が少なくありません。

都立小平霊園の樹林墓地には、すでに遺骨を持っている人の募集枠と生前に申し込みができる枠がありますが、倍率が高かったのは、後者の「生前申し込み区分」の方でした。

ところで、樹林墓地の生前申し込み枠の次に倍率が高かったのは、青山霊園の一般的なお墓の区画約5~6m2で19.4倍でした。墓石代を含まない、墓所の使用料だけで最高1635万円という高額枠に97人の応募がありました。

この枠、昨年は募集がなかったので単純な比較はできませんが、お墓の購買にもアベノミクス効果が出てきているのかどうか。ちょっと気になるところです。

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。