お墓に家紋を入れますか?

キング牧師の演説から50年の記念行事(08.28ワシントン)で、演説を行ったキャロライン・ケネディ氏が、鴨長明の随筆『方丈記』から「水は流れ続けても川は残る」を引用したことが報道されました。また、その式典で氏が着ていたワンピースには、「日本の皇室を想起させる菊の模様」があしらわれていたそうです。(『菊の御紋に日本の格言も引用 ケネディ次期駐日大使が演説 指名後初』msn産経ニュース2013.08.29)。

〈菊紋〉と言えば、皇室の紋章。家紋を洋服にあしらうとは日本人もビックリですが、次期駐日大使に指名されているケネディ氏が日本への想いを表したのでしょうか。

日本で「家紋を入れる」ものと言えば、着物(紋付)や兜などが思い浮かびますが、現状、冠婚葬祭の時や節句など節目の時に限られる傾向があるように思います。

もう一つ忘れてならないのは〝お墓〟でしょうか。ただ、こちらも刻む人が減っているようです。お墓が小型化していること、洋型を選ぶ人が増えていることが要因となっています。また普段、家紋を目にすることが少ないためか、「代々伝わる家紋がどんなものかわからない」という人も増えているのです。

かく言う我が家も、お墓を造ったときには義父をはじめ全員、家紋がわからず、節句の兜を押し入れから引っ張り出して確認しました。

そんな現代において、家紋の研究をしながら、その受注制作をしているという方にお話しをうかがいました。

家紋デザイナーの沖のりこさんは、9年前からこの仕事をされています。
家紋を形作る文様には、それぞれ意味があるそうです。「家紋についていろいろ調べていくとすごく奥が深い。デザイン性もさることながら、一つ一つに意味が込められているということころも神秘的で、この仕事にのめり込んできました」。

家紋の注文が入ると、実際にその人に会って話を聞くそうです。家紋にどんな意味を込めたいかを確認して、例えば「強さ」「登りつめる」というキーワードをもらえば、龍・鳳凰・ライオン・竹・藤・波・剣などを提案してそこからいくつか選んでもらい、全体のデザインに入るといいます。

ところで、具体的にどんな依頼が来るかというと、「お墓を造る際の注文では、『自分のイエの家紋がわからない』という人より、例えば『亡くなった故人にぴったりの家紋を』というように、故人への思い入れを理由とする人の方が多い」といいます。

お墓以外では、「生まれてくる子どもの印として」とか、「会社のロゴとは別に自分だけのオリジナルマークをつくって名刺に入れたい」という人もいるそうです。

これらのオーダーは、どちらかというと「家紋=イエを表す紋章」ではなく、個人向けの用途が考えられるものです。
家用ではない、もっと細分化されたメンバーのためのオーダーは、核家族化や家への帰属意識が薄れてきたことが影響しているのだろうか―。
取材を通してそんなことを考えさせられました。

【沖のりこさん】
1975年生まれ。家紋デザイン研究所所長。
家紋デザイナーとして、家紋・企業紋や個人向けの洒落紋の受注制作に携わる。また家紋研究の他、多くの人に家紋に親しんでもらうワークショップや制作講座を開催し、その普及活動を行う。日本家紋研究会会員。
著書に『オリジナル家紋 開運BOOK!』(マガジンハウス)
家紋デザイン研究所 http://henanoya.com/

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。