改葬の勘違い その3「寺院墓地も民営霊園も、同じように手続きは簡単?」

新しいお墓が出来た時に行う「開眼法要」に立会ったことはあるでしょうか?単なる石を〝墓石〟にするため、そこに魂を入れる儀式で、一般的には僧侶を呼び、お経をあげてもらいます。

改葬に伴い、お墓を閉じる時には、これとは逆に墓石から魂を抜く、「閉眼法要」を行います。僧侶へのお礼=お布施など、そのための費用もかかってきます。

お墓の引越し=「改葬」における宗教的費用はこれだけとは限りません。

お墓が寺院墓地にある場合、離檀料(お布施)がかかることがあります。
多くの場合、寺院墓地に入る=檀家になることですから、最初に「入檀料」をお支払いします。その後、お墓を移す時は、檀家を離れる=「離檀」することになります。

すべてのケースで離檀料を渡すわけではありませんが、中には「お寺から金額を指定された」という事例も耳にします。
離檀料に決まった額はありませんし、法的にそれを支払わなければいけないという決まりもないため、納得がいかない場合は話し合いとなります。

このように寺院墓地からの改葬の場合、公営や民営霊園とは違い、書類上の手続きだけではすまないことが多々あります。

お寺にとってお墓の改葬とは、檀家が減ること、お寺の経済を支えるメンバーが少なくなることです。その経営に直結すると言う意味から、なかなか許可をもらえないことがあるのです。

ただ、お墓の管理者であるお寺から、許可書に印を押してもらわないことには改葬は進められません。
話を切り出す時には、離壇を納得してもらえるよう、理由をきちんと説明すると同時に、これまでの先祖供養に対するお礼を伝えることをお勧めします。

お寺は、単に「お墓がある場所」というだけではなく、檀家さんの誰かが亡くなればその方の死者供養をしています。葬儀やお彼岸などの節目はもちろん、朝夕に供養のための読経をあげたりしているのです。

お寺と檀家の関係は以前ほど密ではなくなり、お付き合いの基本的なところさえ、意思の疎通がスムーズにいかなくなっています。
檀家は、お寺の経済を支えるという意識が希薄になり、一方のお寺側はこれまでの慣習に頼り、それぞれの檀家へ目を向けることを怠っている面もあります。

改葬は「お墓参りが遠くて不便」といった、地理的な理由がほとんどですが、一部、「お寺との付き合いが面倒だからお墓を移す」といったケースがみられます。そんな寺院墓地からの改葬の要因の一つは、両者のコミュニケーション不足にもあると感じています。

改葬の勘違い その3「寺院墓地も民営霊園も、同じように手続きは簡単?」()

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。