改葬の勘違い その2「今の墓石を使えば、費用が抑えられる?」

今回は、お墓の引越し=「改葬」の費用にまつわる〝勘違い〟をみていきます。

「お墓を移すけど、今の墓石を新しいところに持っていけばそれほど費用はかからない」。そんな風に考えたことはありませんか?

まず言えることは、墓石の持ち込みを禁止している霊園は少なくないということです。

公営以外の各霊園では、利用者がお墓を頼める石材店が決まっていることがほとんどです。開発に費用を出したいくつかの石材店が受注の権利を持ち、新しい墓石を販売することで利益を得ていることもあり、古い墓石の移設は制限されるのです。

また、たとえ墓石の持ち込みを許可しているところがあったとしても、元々あった場所から移動する運搬費用(10~20万円程度/100km)がかかります。磨き直してからとなると、墓石の大きさにもよりますが5~15万円程度の費用がかかります。

新しい墓石代がかからないとしても、これら諸費用が必要なことは頭に入れておきましょう。

なお、「墓石を持っていきたい」と希望するケースでは、「費用が節約できるから」という理由ばかりでなく、「これまでお参りしてきた石を使いたい」との考え方もみられます。

地域によっては、改葬の時に、一番上にあった棹石を新しい墓所の基礎下に埋めるという風習を持つところもあります。「墓石に思い入れがある」という場合、そんなやり方も一つの選択肢になるかもしれません。

もう一つ、改葬をするにあたって陥りやすいのは、「お墓が建っていた区画(墓所)を誰かに売れるのでは?」という考えです。

お墓の場合「買う」とはいいますが、正確には所有権ではなく使用権に対してお金を出したことになります。これまではその場所を借りていただけで、誰か他の人に転売することはできないのです。

さらに、管理者に墓所を返す時には、墓石を撤去し、更地にして返すことが原則となります。

たとえば借りていたアパートからどこかへ引っ越す場合、家具類を残さず、部屋をキレイにしてから大家さんに返すことが一般的です。
お墓も同じく、「借りていた」場所ですから、墓石を撤収して墓所を整地して返却するわけです。その費用は自分持ちです。地域や業者によりますが、5万円~(/1m2)がかかります。

改葬に伴い、この「墓石撤去費用」については最低限必要となります。前述しましたように、古い石を新しい墓所で使う場合は、これに、「運搬費用」「磨き直し代」などがかかります。
新しいお墓を購入する費用も考えると、あらかじめトータルの予算を立てておくことが賢明と言えそうです。

改葬には、こうした実費意外に、宗教的な費用もかかってきます。
次回はその点についてみていきます。

改葬の勘違い その2「今の墓石を使えば、費用が抑えられる?」()

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。