契約前にチェックしておきたい「使用規則」その3 ~都立「樹林墓地」の場合~

公営では横浜市の事例があるものの、都立では初めてとなる樹木葬墓地の募集が7月1日から始まります。

都立小平霊園の「樹林墓地」は、敷地面積834m2。武蔵野の植生から選定された、コブシ、ヤマボウシ、ナツツバキ、ネムノキ、イロハモミジの樹木の下に、深さ2.1m直径1.5mの共同埋蔵施設が27基設けられています。底は直接土に接していて、それぞれ袋に入れられた遺骨は、時を経て自然に還るといいます。

5月に行われた現地案内会は、募集枠300名に対し、2500名の応募が寄せられるなど都民の関心も高まっているようです。

ところで、東京といえば全国各地から人が集まっているという土地柄、「現在お墓を持っていない人」が約4割を占めます(H17年度都政モニターアンケート調査)。
このため都立霊園では合葬墓などを除き、募集資格として「すでに遺骨がある」人を原則としていますが、樹林墓地では生前申込みも可能となっています。

使用料は1体13万4千円(粉状は4万4千円)。その分を最初に支払うと、その後の管理料がかかりません。「子どもがいない」「娘だけ」などの事情から、お墓の承継者がいない人をも想定しているのです。

1999年岩手県一関市の祥雲寺から始まった〝樹木葬〟は、現在では全国20数カ所に拡がっています。その特徴として挙げられることは、まず、墓標が石ではなく樹木になることですが、申込時に「承継者の有無を問わない」こともその一つとなっています。
通常、毎年支払う管理料を長期分最初に一括で支払ったり、生前のみ徴収するなど、その多くが承継者の心配がいらないシステムとなっています。

「樹林墓地」は、こうした樹木葬の一般的な流れを取り入れたともいえますが、その前提として、核家族化、少子化、晩婚化・非婚化などによる家族形態の変化があります。
今後、承継者不要の形態需要が高まることを予想して開設されたお墓なのです。

それでは、そんな都立「樹林墓地」の納骨やお参りに関しての決まり事(使用規則)について、より詳しく見ていきましょう。

  •     使用料のみ。管理料は不要
  •     親子、兄弟姉妹、夫婦単位での申込み(2体・3体)ができる
  •     共同埋蔵施設1基に約300~400体が納骨される
  •     納骨は管理事務所職員が行う
  •     納骨された人の名前などは記されない
  •     毎年、管理事務所が「献花式」を行う
  •     献花や焼香は、墓地前の参拝広場に設けられた「献花台」で行う

埋蔵方法は、個別ではなく、他の遺骨との合葬になります。納骨は遺族ではなく、管理事務所が行います。
また、夫婦など複数人で申し込んだ場合、それぞれの亡くなった時期によって、27基ある中の、同じ埋蔵施設に納骨されるとは限りません。

お墓の契約前には、使用規則に目を通しておくことをお勧めしていますが、たとえ樹木葬であっても、その葬法ばかりに気を取られるのではなく、こうした条件が自分たちの希望と合っているのかどうかも検討材料としましょう。

契約前にチェックしておきたい「使用規則」その3 ~都立「樹林墓地」の場合~()

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。