あの日があってわかったこと

欧米の軍人は毎年、年頭に遺書を書くという話を聞いたことがあります。
年の初めに、改めて、軍人として死への覚悟を明確にしておくのでしょうか。いつ戦いに駆り出されるかわからない職業ですから、残される家族に言葉を残す意味もあるのかもしれません。

今年、『最後だとわかっていたなら』(原題:Tomorrow Never Comes)という詩が静かな反響を呼びました。

「あの時が最後だとわかっていたなら」と後悔しないために何が大切かを教えてくれるこの詩は、大きな災害に見舞われた日本人の心に訴えるものがありました。

作者はノーマ・コーネット・マレックというアメリカの女性です。ノーマさんは、ご自身が、10歳の息子さんを不慮の事故で亡くし、1989年に故人への気持ちを詩に託し発表します。
2001年に起きた同時多発テロの後、この詩が追悼会で朗読されました。

その後チェーンメールなどで世界中に配信され、日本でも07年に訳されました。
そして4年後。口コミ、ネットなどで評判が拡がり、NHKのニュース番組でも取り上げられました。

本を出版する会社の公式サイトでは、この詩を読んだ人から寄せられた数々の声が紹介されています。

  •  あたり前だと思っていた日々、ずっと続くと信じていた日々がとても大切なのだと気づかせてくれる詩です。
  • もう会えない もう伝えられない
    そんな 胸にぽっかり穴の開いたような日が来ないように
    大切だなぁと日々思う人たちを
    今日大切にしたいと思いました

東日本大震災が起きた2011年。いろいろなことを感じ、考えさせられた年でした。

震災によって亡くなった人は、1万5千人余り(2011年12月時点)にのぼりました。
軍人などではない普通の人が、大人も子供も区別なく、一時に大勢命を落としました。自分の家族、友だち、職場の仲間―。昨日まで元気に会話していた人を奪われました。

直接被害を受けなかった地域でも、交通手段が遮断され帰宅できなかった人、その時点で別な場所にいた子供の身を案じた人がいました。

あの時、私たちは、今までの〝当たり前〟が当たり前では無くなる体験をしました。

そんな経験をしたからこそ、わかったことがありました。
例えば、『最後だとわかっていたなら』が発しているように、大切な人を今日大切にすること。感謝の気持ちを伝える時間を持つこと―。

普段は日常モードでなかなか行動に移せない人にとっても、新しい年の始まりというのはいいチャンスかもしれません。

この特別な時に、大切な人へ、あなたの素直な気持ちを言葉にしてみませんか?
「いつもありがとう。今年もよろしくね」
そんな風に一言添えるだけで、伝えられることがあるはずです。

参考資料
  •     『最後だとわかっていたなら』
    ノーマ・コーネット・マレック作/佐川睦訳 サンクチュアリ出版
  •     書籍『最後だとわかっていたなら』公式サイト
    http://www.sanctuarybooks.jp/saigodato/

あの日があってわかったこと()

>柿ノ木坂ケイの「ちょっと気になるお墓の話。」一覧へ戻る

柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。