価格以外のことを、いくつ質問できますか?

先月、駿台トラベル&ホテル専門学校(東京)で葬祭業に就くための勉強をしている、「ライフステージ・プロデュース学科」の生徒さんを前に、お話する機会をいただいた。
20代30代の若い方々へ、これから葬儀社へ就職してお客さんにお墓のアドバイスをする際に、あるいは石材店へ勤めた時に、消費者のあらゆる質問に答えられるよう"お墓のプロ"を目指して欲しいとお願いした。

そんな趣旨の話をしたのは、自分の体験に由来する。

6,7年前、お墓を買おうと霊園巡りをしていた時のこと。行った先で石材店が説明するのは、ほぼ売り出し区画と金額のことだけだった。
「1m²のA区画でこの石を使って100万円からになります」といった具合。

そんな時、ある石材店の営業マンとの出会いがこの買い物の楽しさへと導いてくれた。
その人は、石の良し悪しの見分け方や金額の差について、お墓の工法について解説してくれた、初めてで唯一の人だった。(詳しくは著書をご参考のこと)

再びそこを訪ねたとき、「なぜ私たちにここまで教えてくれたのか」を聞いてみた。答えは、「あなたたちが、最初に金額のことを言わなかったから」だった。
普通、霊園見学に来た人は、チラシの金額を見て値切ってくるそうだ。

宗教・法律・家族関係などが絡んでくる「お墓」は、特殊な商品のわりに、消費者にとっては一生に一度あるかないかの買い物。当時の自分がそうだったように、完璧な知識を持っている人は少ない。
それでわかりやすい「値段」が、一番の"物差し"になっている面があるのかもしれない。

もちろん予算あっての買い物だけど、そのお墓が高いか安いかは諸条件が関係してくる。確認のポイントは「使われている石の産地や吸水率について」「どのような基礎工事をしているか」、その他様々ある。
ところが、「お客さんが尋ねてくるのは金額のことが中心」であれば、「業者は『またか』と思い、他のことには触れなくていいと判断してしまう」という悪循環が生まれてしまう。

それに、商品については聞いてこないから分かっていないのだろう、と思われてしまってはこちらの損。ある程度、霊園やお墓の判断基準を知っている、選ぶ目を持っていると示すことが、きちんとした対応を引き出し、業界も勉強せざるを得ない状況が生まれてくるかと思う。

というわけで、いいお買い物のためにはぜひ、事前にお墓について基本的なことだけでも把握しておいていただければと思う。
私が霊園巡りをしていた頃と違って、今はHPから発信している石材店は少なくないし、もちろんこの『いいお墓.com』もそのための情報を用意している。

「戒名とお墓」「墓石の価値はどのように決まるのか」「石のカットについて」。そんなことを知ることで、希望のお墓、自分(達)に合った形態が徐々に見えてくる。
質問を投げかけた際の反応から、建墓の大切なポイントである「石材店の姿勢」というものも判明する。

「割引価格になるかどうか」以外のことを、いくつ聞けるか。その数が多いほど、後悔しない買い物へ、またその過程を楽しむことへ繋がっていくように思う。

価格以外のことを、いくつ質問できますか?()

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。