公園に、お墓?

今年6月、福井県の元県議が、公園に勝手に自分の銅像を建てようと講じるも未遂に終わるという事件が報道された。

県立公園「トリムパークかなづ」の芝生4×5mをはがし、無許可で銅像設置のための基礎工事を始めようとして県と市に撤去を求められたのは、福井県議会の元議長中島弥昌氏(84才)。
「公園は私の尽力で建設され、その功績を後世に残したかった」と理由を話したという。(読売新聞2009.06.25)

「公園に勝手に銅像」事件はそれなりにインパクトがあったけど、お隣の中国ではさらに凄いことが起きている。

最近、そのタイトルに惹かれて手にした本、『「死体」が語る中国文化』によれば、2008年、重慶市郊外にある三峡周緑地記念公園内に、豪華な生前墓が不法に建てられたことが報じられたという。
その数87基(!)のうち20基が、地方政府の幹部のもの。
公職に就く者が、不特定多数の人が利用する場所に私物を建ててしまうという点で先の事件と共通しているものの、こちらは“お墓”である。

同書では、同じく潮州市でも勝手に造られた複数のお墓に対し、1999年移転通告が出された例が紹介されている。しかも、こちらは街の中心にある公園での出来事だそうだ。

2つの例に共通して言えるのは、それぞれの公園が風水において理想的な地形に位置することのようだ。

風水。日本の辞書によれば、「都市や住宅・墳墓などを造る際に、地勢や方位、地脈や陰陽の気などを考え、そこに生きる者とそこで死んだ者すべてによい自然環境を求めようとするもの」(『大辞林』「風水説」)。

ところで、日本で“風水”というと、自宅の造りだったり、「西側に黄色のモノを置くと運気がアップ」のように、生きている人間の家(陽宅)について気にする傾向にあるけれど、中国ではなんといってもお墓(陰宅)が重視される。
風水上良いとされる場所にお墓を造れば、良い「気」が子孫に好影響を及ぼすと考えられているのだ。
だから公共の場であろうとなかろうと、風水上持って来いの場所は、役人はその権力も使ってでも逃さない、もちろん庶民もということらしい。

実際、日本を除く東アジア(沖縄はこちらに含まれる)では、風水的に家よりお墓が大事に考えられているから、そちらにお金もかけるし立派なのだとか。
自宅よりお墓。そしてその立地にも大分こだわりがあるようだ。

中国(漢民族)の墓=子孫繁栄を願って。元県議の銅像=自己顕示のため。こう考えると、前者の方がまだ「自分以外の人のために」という要素があるような・・・。どちらも公の場所に好き勝手に造られてしまっては迷惑な話に違いないけど、中国のケースには、法律も秩序もなんのその、我も我もと場所取りするたくましさ、エネルギーを感じずにはいられない。

参考文献:『風水 気の景観地理学』渡邊欣雄著(人文書院)

公園に、お墓?()

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。