お墓購入の基準は「利便性」か?それとも「値段」か?

お墓を建てようとする人は、実際どんな判断基準で石材店や霊園を選ぶのだろう?

2005年、近い将来新たにお墓を購入しようとしている30代・40代・50代以上に行った『墓地・墓石に関する消費者意識調査』(日本石材産業協会)によれば、「墓石を購入する場合、石材店に求めたいもの」は、「値段が手頃なこと」(57.8%)がダントツ1位だった。
ズバリ、値段=お金ですね。

“値段”といえば、前回、お墓の耐震についてアドバイスをもらった日本石材産業協会の杉本さんがちょっと気になるコトを言っていた。
―「きちんと施工している石材店の施工販売価格は、値切らない方がいいかもしれません。自分たちの仕事に対して自信を持っていますから。
職人のプライドですね」

ウチの場合、飛び込みで、ある墓地を見学したことがあった。たまたまそこにいた石材店の営業にお墓の選び方を基本的なことから懇切丁寧に教えてもらい、それはその後の購入にすご~く役立った。(この辺、詳しくは著書でご確認を)
ちなみにその人は、職人の腕に惚れ、以前勤めていたところからこの石材店に移ったということだった。

次に訪ねた時、値段もかなり譲歩したものを提示していただいた後、その営業マンが言った。
―「大抵のお客さんは、来るなり値段の話で、必ず値切る。ところがお宅はそうじゃなかったから」
どうやら、がつがつとお金のことから切り出さず、お墓について他の点から質問したことが先方の心証としてもよかった様だ。チラシを見て行ったわけではなく、「値切れなかった」状況が幸いしたワケだけど。

予算は大事。だけどこんな経験から言えるのは、いきなり値段の話、よりはまず先方の説明を聞いてみる。その方が相手とよい関係を築き、よりよい買い物ができるかもしれない、ということだ。

ところで気になったのは、この「石材店に求めるもの」の問いに対し「納得いくまで見積もりを出す」が10.7%。他、「丁寧な説明」「アフターサービスの良さ」「施工の保証書」の項目はいずれも10%未満だったこと。
このコラムを続けて読んでいる方には、もうわかっていただいていると思うけど、「きちんと施工する石材店」選びには、こういう点からのチェックが大切だと再確認しておきましょう。

アンケートではまた、お墓を建てたい墓地の「自宅からの距離(かかる時間)」を尋ねている。
回答は・30分以内―30.5%・1時間程度―51.7%と、8割以上の人がそれほど遠くない距離での購入を希望しているようだ。

お墓が自宅から近ければ、お参りもしやすいし便利。こんな当たり前のことに意外な視点をもらったことがある。あるベテランの石材店営業マンと雑談中、私が「もしこれからお墓を買う人に提案するなら?」と聞いた時のこと。

―「都心や都市部はどうしても値段が高くなるし、思い切って少し離れた場所に買い求めるのもいいかもしれないね。気に入った所、例えば、温泉の近くとか。地方のお寺は案外真面目にやっているところが多いから、そこにお布施を渡して普段の管理・供養をしてもらう。それで、2~3年に1度、孫でも連れて観光がてらお墓参り、なんていいと思うよ」

そんな考え方もアリかなと思わせる話だった。お墓を購入する際の条件は人それぞれ。でもちょっと考え方を変えてみれば、選択肢が拡がるのだなと気づかされもした。

お墓購入の基準は「利便性」か?それとも「値段」か?()

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。