クリスマスの品格?

師走の声を聞くと、夜の街がチカチカしてくる。
街路樹やツリーに電飾を付けたイルミネーションは、観光スポットや商業施設だけのものではなくなった。
最近は個人宅でのそれが話題だ。
ツリーやリース、トナカイ、サンタクロースと、「クリスマス」を意識した飾りつけ。
ウン万個の電球を使ったとか、ウン百万円を投じたなどと取り上げられている。

まさか国民を挙げて「美しい国」を造っているわけではないと思うけど、クリスマスといえば、キリストの降臨を祝うお祭り。確か信徒の数は少なかったはず・・・。


日本人が無邪気にこの「イベント」を祝う反面、欧米では、他の宗教を信仰する人々に気を配った動きがあるらしい。
宗教が混在する米では「メリークリスマス」が共通語ではなく、「ハッピーホリデーズ」が一般化しているとか。
また、最近では、公共の場での飾りやツリーの設置を控えたりもしているという。

一方、キリスト生誕地のベツレヘム(パレスチナ自治区)では紛争等のため観光客による収入が減り、装飾費の寄付を募ったという。

この国だけが信仰心とは離れたところで勝手に盛り上がっているようで、なんだか申し訳なくなる。

2005年読売新聞が行った、宗教に関する全国世論調査の結果によれば、「宗教を信じている」日本人は2割台に過ぎない。

また、「キリスト教徒ではないのにクリスマスを祝う」「神道や仏教の信者ではないのに初詣に行く」について「とくに何とも思わない」と答えたのはそれぞれ83%92%だった。

日本人は一部の人を除き、その大多数が宗教的なコトに「まっいいか」なのである。いい加減である。
これでは“無宗教”というより、自分たちの都合による、おいしいとこ取り状態ではないか。

せめて我が家だけでも、少しは「宗教」ってものを自覚しようと(?)、一応、どちらかというとやや仏教寄りではあるため、クリスマスは特別なことをしないことにした。

教会への礼拝はもちろん、イルミネーションなども見に行かない。
自宅での飾り物もなし。
プレゼント交換もケーキもなく、「ふつうに」過ごす。・・・ただ、クリスマスイブに和食じゃちょっとね、ということで、サムゲタンを通販で注文してみた。

サムゲタンとは、丸鶏にもち米や高麗人参などを詰めた韓国の薬膳料理。
鍋で煮たそのスープは滋養タップリ、ということで、年末の疲れた体にも良いと思われる。
でも、クリスマスを意識したわけではないが、「チキン」・・・。
ええい、キムチを付けて「クリスマス」とは呼ばせまい。

「これで安心」と迎えた、イブ当日。
どうも朝からケーキが食べたくなる。普段はあんこ派なのに、どうしたことか、小麦粉とバターとクリームで出来たお菓子を欲している。

ああ情けない。頭ではアレコレ考えても、体が、胃袋が反応してしまうとは・・・。
子供の頃から積み重ねてきた、日本的クリスマスイベントの記憶が呼び覚まされるのかしら?

大体「クリスマスに何もしない」と決めたと言っても、ケーキを買うのは、美味しい店では人が並んでいて面倒。
それに夫婦間でプレゼント交換をすると、こっちが買ってきたモノを相手が気に入らず、使わなかったり。
腹が立って「もう、いいや」となりがちなのだ。

・・・結局ダメだった。
華やかで、なぜか人々の心を温かくする。意識しまい、ただ通り過ぎようとしても、必ず心乱されてしまう。
ホントに罪なヤツだね、「ジャパニーズ・クリスマス」。

ところで、昨年末、米ではシアトル空港のクリスマスツリーが摩擦を引き起こした。
あるユダヤ教司祭が「公の場に、(キリスト教徒のための)ツリーだけを置くのは問題。
ユダヤ教の祭飾もするべき」と抗議したことに、キリスト教右派が反発。
TV番組では盛んに討論がされ、ユダヤ教側には脅迫状が送りつけられる騒ぎに。

日本人のように宗教的に曖昧なのもどうかと思うけど、その信仰が真剣なものになれば、場合によっては対立も起こる。
「対立」も論争までならいいけれど。

クリスマスの品格?()

>柿ノ木坂ケイの「ちょっと気になるお墓の話。」一覧へ戻る

柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。