いいお墓?

このサイトのタイトルでもある“いいお墓”。

“いいお墓”にはいくつか条件があるけど、大前提になるのは、やはり「持ち主、買った人の状況に合っていること」でしょうか。

数年前お墓を購入した、我が家の場合。
義母が亡くなり、義父、長男である夫、その嫁の私、義弟の4人でお墓を探すことになりました。

いくつか霊園を見ていくうちに、夫がこだわりを持つようになったのが“墓石”。
いくら他の条件が良くても予算内の「石がダメ」と判断すると「ここの霊園はダメ」出し。
ちっとも決まりません。
確かにいい石がわかると、ランクが下がるものが貧弱に見えたりするんですね、これが。

私も多少そんなことを感じてはいましたが、夫ほどこだわりはなく、どちらかというと霊園周辺の環境を重視していました。

“石”、“環境”。どちらもお墓選びには大切なポイントです。
だけど我が家の場合、その“物差し”よりもっと重要なことがありました。

それが「故人に戒名はいらない」「宗教的な法要は必要ない」という義父の意向でした。
初めからわかっていれば問題はなかったものの、そのことが途中で判明。
決まりかけていた寺院墓地をキャンセルしました。

買ってわかったことですが、“お墓”ってなんだか特殊です。

我が家がキャンセルした原因は「お寺のお墓には原則戒名を付けないと入れない」ことをわかっていなかったからでした。
またこの墓地の場合、法要ではお寺の住職を呼ぶことが条件となっており、それも義父の考え方に反していました。

お墓にはこうした宗教上の制約が付きものです。

そして“買い物”としてもなかなか特有のものがあります。

実際お墓を「買う」といっても、その場所を勝手に売り買いしたり、他人に貸したりはできない。

たとえその場所を使わなくなって、霊園側に返しても(なぜか)払ったお金が戻ることは少ない。
不動産とはまた異なるシロモノです。

まず、それらもろもろのお墓の特殊性を知っておかないと、いい選択はできない。
我が家のように途中で気づけばまだいいものの、決めてから「あれっ?」では遅いこともあります。

キャンセル後ですが、再検討した結果、義父の考えを尊重し、ある民営霊園に買い求めました。現在、家族で年何回かお参りに出掛けています。
一周忌など特別な法要でも宗教者を呼ぶこともなく、お花や線香を供えるだけです。
それでも手を合わせながら故人に想いをはせ、参列者同士何となく思い出話となったり、近況報告をしたり・・・。

実際に建ててみて感じたことは、お墓は縁ある者が集い、義母に会いに行く場所だということでした。

世間では個性あるデザイン墓がもてはやされる中、ウチのお墓は予算の関係上、形はごくシンプル。石は“墓石”としては適していますが、安いもの。
決して立派ではありません。
あれほど石にこだわりをみせていた夫は、やはり多少未練があるようですが・・・。

私としてはそれでも、故人に想いを寄せる場所があることが大切で、結局石やデザインは何でも良かったんだナという気がします。
予算がふんだんにあればまた違うのでしょうが、今はこれで充分だと思っています。

何より宗旨宗派を問わない霊園ですから、信仰を持たない一家がこれからも長く付き合える場となりそうです。

いいお墓の目安となる一般的な基準はあっても、その大前提となる諸事情は買い求める人、家ごとに違います。
家族構成、継承者は誰なのか、住んでいるところ、予算、信仰や地域の風習・・・。
さまざまな要素が、その家の、個人のもっとも“いいお墓”を決めます。

あなたにとっての、あなたの家族にとっての“いいお墓”はどんなスタイルですか?

我が家のようにお墓選びの途中でつまずかないよう、“お墓”というものの特徴をよ~く知りつつ、それぞれの“物差し”で計測してみて下さい。
いろいろな“お墓”がありますが、自分本位に、そして自分たちの意向に適ったものを選択して欲しい―。そう願っています。

このコラムコーナーでは、これから、お墓に関するトピックスや気になることを取り上げていきたいと思っています。どうぞお付き合い下さいませ。

いいお墓?()

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柿ノ木坂ケイ プロフィール

プロフィール

1964年生まれ。東京都立大学人文学部社会学科社会人類学専攻卒。タウン情報誌編集部を経てフリーライター。 3年前義母をなくし、お墓がない現実に直面。購入まで苦労したことがきっかけとなり、意外と知らなかったお墓について調べ、著書『間違いだらけのお墓選び』をまとめる。
現在、「明るくわかりやすくお墓を語る」をモットーに、消費者の立場から見た“お墓”についての講演や関連記事の執筆などで活動中。

【 著書 】

『間違いだらけのお墓選び-買ってわかったお墓事情あれこれ』
2005.11刊/情報センター出版局(1400円+税)

〔第1部:お墓購入ドタバタ体験記〕

年齢も趣味も違う家族が一つのものを買うのは大変なこと。
ましてやそれが“お墓”であればモメるのは当然?!著者と家族の笑える(?)お墓探しの日々を綴る。

〔第2部:お墓に関する49の基礎知識〕

誰もがいつかはお世話なるものなのに、よくわからないもの、それがお墓。その購入の実体験をもとに「これだけは知っておきたい」という知識をまとめた。イラストやフローチャート入りで“初心者”にも楽しくわかりやすく、お墓選びのツボを伝える。