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◆ column 14. 青い目の神主さんに聞く  ◇その1. 〜なぜ神道だったか〜

 

2007.11.01

女性の、しかも外国人の神主さん*がいる、と聞いて意外に思った。友人の英語の先生でもあるその人に、どうして神道なのか、お話を聞いてみた。

ケイトリン・ストロネルさんは、オーストラリア出身。高校生の時、1年間日本に留学し、その後、修士課程を日本の大学で学んだ。その学生時代に神道との出会いがあったの?

―ホストファミリーの家の近くにとても古い神社があって、ほとんど閉まっているんだけど正月だけ開いて、地域の人が集まって神主を呼ぶんですね。
なぜかそこ(神社)がすごく好きで。何か困ったときとか大変なときはいつも行っていたんですよ。
でもその家にあった神棚のことを聞いても、「あれは神様」としか答えてくれなくて。恥ずかしいから?と思ったけど。とにかく誰か満足するまで説明してくれる人もいなかったし、神道のことはよくわからなかった。

―その後、オーストラリアの大学で日本の政治を勉強したんですね。その時“神道”は「国家神道」というカタチで学んで、人間をダマす、洗脳するためのものとしか思わなかった。
だからイメージが全然よくないわけ(笑)。
それで日本に来て、環境の市民運動のことを研究しているときに、この神社を知って訪ねたんです。

―その時の神主さんは太平洋戦争でパイロットでした。友達が死んでいくのを見てきたわけ。だから戦争の話しをすると今でも体が震えるくらい。
でも「神道にダマされたという怒りがあるのに、どうして神主になったんですか?」って聞いたら「神道は国家神道とはまったく違うものです」とおっしゃって。

実際、目の前にそういう人が現れて、それまで持っていた神道に対する概念が全部崩れたんですね。

その後、この浅川神社に通うようになったケイトさんは、気づかされたことがあったという。

―『自然(じねん)護持未来永劫』。祝詞にも出てくる言葉です。わたしは環境運動もやってきたんですけど、自分が環境を守っているという意識をずっと持っていた。だけどここに来て、「自分が自然を守っているんじゃなくて自然があんたを守っているんだよ」と考えるようになって。

―今、日本で使っている“自然(しぜん)”という言葉は、明治時代に作られたもの。西洋のコンセプトをたくさん日本語にするという流れの中でできたんです。
英語の“nature”は、例えば“natural resources:自然資源”“ natural science:自然科学”と使われていて、全部、「自然は人間のためにある」という考え方が入り込んでいるんですよ、言葉に。
その影響を受けていますけど、元々あった“自然(じねん)”の意味は違ったんです。

―聖書の一番最初で、神様が光と闇を分けて、その後、海と大陸を分けて、鳥を創ったり、魚を創ったり。そして最後に男を創ったんですね。その男は全部を支配するためのもので、ランクがあります。ハイエラキー(階層)が。そこに「人間が一番上」っていう考え方があるんですね。
わたしはキリスト教を信じてこなかったけど、その考え方が自然に染み込んでいるところがあって。

だけどここに来て、そうじゃなくて、「皆が平等で自然の中にいる」っていうことが初めてわかったんですね。

実際の神道に触れたことで「自分も自然の一部」と、頭でではなく、気持ちでわかるようになったというケイトリンさん。それは環境運動に関わってきたご自身にとって、非常に大事なコトだったという。

私たちの暮らしの隣に、当たり前のようにある“神道”。他国から来た彼女は、そこから本来ある日本人の考え方を見出した。
そんなお話が新鮮だった。

(次号につづく)

*『宗教年鑑 平成18年版』(文化庁)によれば、全国の神道系宗教団体の神職者数(巫女を除く)は男女合わせて87,236人。また、女性神職者30,157人のうち外国人数が163人となっている。

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