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◆ column 25. “愛しいホネ”のき方?

 

2008.10.01

今年8月、隠岐諸島の小さな島で、「散骨場」としての開所式が行なわれた。島根半島から60km程、面積1000m²の無人島カズラでのこと。
「島ごと散骨場」という珍しさから新聞や雑誌で取り上げられ、希望者からの問い合わせがきているという。

「死んだら自然に還る」には理想的でも、交通の便がいいとは言えないこの場所について、運営する会社社長は、他所と比べ「カズラ島はオープンに散骨が可能」とコメントしている(『読売ウィークリー』9/21号)。
遺骨を撒く環境として、無人島であること=人が住んでいないことが大きなポイントなのだろう。

散骨を“自然葬”と名づけ、推し進めてきたNPO法人「葬送の自由をすすめる会」が設立されたのが1991年。当時、法務省が、散骨に対し、「節度をもって行う限り遺骨の遺棄にはあたらない」という見解を出したこともあって、新しい葬送スタイルとして注目された。
現在その実施においてはまだまだ少数派でも、散骨サービスを行う業者も増え、散骨自体が特異なこととして扱われることはなくなった。
東京都が2005年に行なったインターネットによる都政モニターアンケートでは、散骨に肯定的な意見は74.4%に上った。東京ばかりでなく、一般的な世論調査で容認派がほぼ7割を超えるようになった。

ただ、法律として明確な決まり事がないため、各地でトラブルも起きてきた。
北海道長沼町では、2005年、墓地以外の場所での散骨を禁じる条例が施行された。事業者が散骨場を計画したが、農産物への風評被害の恐れを理由に地元住民が反対したことがきっかけだった。

この『長沼町さわやか環境づくり条例』では、ゴミやペットの糞尿の始末についても規制をしている。「清潔で美しいまちづくり」のため、遺骨がこれらと並んで問われるということには違和感を覚える。とはいえ、私たちの中にはどこか“骨”に対して忌避感があることは否めない。
「散骨はしてもよい」。統計上、そう認める人は多数派でも、それ故自分の生活圏では「NO」となる。
カズラ島の場合、周辺の、人が住む島や漁業関係者の理解は必要だが、住人がいないためこのようなダイレクトな反発は起きにくいだろう。

ところで故人のとむらい方として、ここ数年、「手元供養」が知られるようになった。遺骨・遺灰の一部を加工してつくるアクセサリーやオブジェなどのさまざまな商品が仏壇屋で販売されている。
遺骨をそばに置いておきたい、身に付けておきたい。そんな、自分にとって大切な人のホネにとことん愛着を示す人がいる一方、赤の他人のそれは厭う。

生活圏で散骨していいホネとイヤなホネ。
その境界線はどこなのだろう?

少々古くなるが、セカチューこと『世界の中心で、愛をさけぶ』のケースから考えてみる。
成人した主人公の朔太郎は、高校時代に亡くなった恋人アキの遺灰の一部を、共に通った母校の校庭に撒く。朔太郎にとっては一つの区切りをつけることでもあり、この散骨に、周囲への罪悪感はない。主人公に感情移入し、小説のこの最後の場面で感傷に浸った読者も大勢いるだろう。
しかしこれが現実に、ごく近所で行われたとして、同じような気持になれるだろうか?一読者としてではなく、登場人物とはまったく縁がなかった場合でも、すんなりと散骨を受け入れることはできるだろうか?

すでに亡くなっているというのに、人間、そのホネを撒いても許せるか否かの判断には、自宅からの距離ばかりでなく、心の「距離」も問題となる。

 

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