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◆ column 24. 花火への想いあれこれ

 

2008.09.01

今年の夏は、TVスポーツ観戦に明け暮れた。もちろん4年に一度のイベント、オリンピックだ。普段関心のない競技でも、国と国との戦いとなるとなぜ熱くなってしまうのだろう?

開会式は、“鳥の巣”が、打ち上げられた花火でまっ赤に「燃える」ところからスタートした。この日上がった花火は2万9千発と発表され、全体的にも、中国が威信を賭けた大会であることを感じさせるものだった。その後、「巨人」の足跡を表した会場周辺の花火が、実はCG合成の映像だったことが判明する、というオチもついたけど。

花火で思い出すのは、10数年前親セキのいる新潟県で出会った納涼大会だ。
海辺で上がる一発一発に、大相撲の呼び出しのごとくアナウンスが流される。スポンサーは企業名もあったけど、「おばあちゃん喜寿おめでとう!孫一同」のようなものもあって、個人でも出資しているようだった。
子供の誕生祝や、健康祈願、また亡くなった人へ向けての一発もあった。
大きな尺玉が連続して上がるような派手さはなかったけど、港の縁に腰掛けながら見た花火は、その間も含めてどこか味わいがあった。

各地の花火大会を観覧し、その写真や情報を発信している小野里公成氏は、伝統ある花火大会の由来について、戦争や大きな災害等による犠牲者への慰霊、あるいは祈願をかける奉納のタイプが多いと記している(『花火百華』)。

毎年TV放映される東京・隅田川花火大会の起源は、享保18年(1733)にさかのぼる。その前年のいわゆる「享保の大飢饉」で亡くなったたくさんの人々の慰霊と悪疫退散のため、将軍吉宗が両国で水神祭を行った。そこで花火を上げたのが始まりといわれている。
死者の慰霊・供養や除災が当初の目的だった打ち上げが今日まで続いているのは、花火の華やかさ、夏の暑さを忘れさせてくれる爽快さ、迫力が人々を魅了してきたからだろう。

「花火」で思い出すもう一つのこと。
友人が、サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)から訪れていた女性を日本の夏の風物詩である花火大会に案内したときのこと。女性は耳をふさぎ怯えたそうだ。

ご存知のようにボスニアでは一時期、大変な内戦が繰り広げられた。
「ボンッボンッ」「ヒュンヒュン」「バチッバチッ」。打ち上げの音、火薬の爆発音は、悲惨な戦いを思い起こさせたのだ。
結局、知人と女性はその“音”を聞いただけで、そこを後にしたという。
「花火が怖い」。自分の中にはまったくなかったそういう感覚を知らされて、少しショックだった。

今年の夏、全国で催された花火大会は、どのくらいの数に上るのだろう。どれくらいの人が、一瞬の鮮やかさに目を奪われたのだろう。
あの音、色、形、におい。風景。それを心から純粋に楽しめるのは、幸せなことなのだと思う。

 

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